まさかの「トランプ大統領」誕生 日本列島が蒼ざめる「最悪シナリオ」2016(1)

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 アメリカという国は懐が深い。ヘイトスピーチをしても大統領になれるのだから――と妙に感心したくなるほど、ドナルド・トランプ氏の勢いは止まらない。支持率は40%前後。共和党候補のトップを独走している。

 メキシコ移民を「強姦魔」、シリア難民を「凶暴な犬」と言う人物が大統領、なんて「まさか」が現実になりつつあるが、警戒しなければいけないのは、これらの民だけではない。

「日本と違って、欧米の民主主義には“公約は実現しなければならない”という考えがあります」

 と述べるのは、京大の中西輝政名誉教授。

「彼は過激な言動を繰り返していますが、大統領になればそれを一つ一つ実現していこうとするでしょう」

 では、その日本に対しての公の発言を振り返ると、

〈どこかの国が日本を攻撃したら我々は助けなければならない。だが、我々が攻撃されても日本は助ける必要がない〉

〈日本はアメリカに何百万台もの車を送ってくるが、東京でシボレーを見たことがあるか〉

「平等を求めるからには、日本にはアメリカと軍事行動を共にするよう求めてくるでしょう。ISへの攻撃に際し“日本も攻撃せよ”というように」(中西氏)

 安保法制の整備だけでも四苦八苦だった安倍政権には、“悪魔の要求”となるのだ。

 一方で、

「彼の本質はやはり不動産王。“金”の要求を盛んにしてくると思います」

 と、福井県立大の島田洋一教授。

「日本や韓国に対して、“無料で防衛してやっている。ただ乗りだ”という趣旨の批判もしていますが、これは、金を出さないなら引き上げると言っているようなもの。安全保障を金の損得で議論しているのです。国際ルールの遵守や、自由主義の体制を広げていくといった理念はない。“助けてほしかったら金を出せ”。そんな日米関係が待っているのかもしれません」

 トランプ氏が敗れたとしても、民主党候補でトップを走るヒラリー・クリントンは、夫ともども、中国シンパとして知られる。いずれにせよ、日本にとっては芳しくない未来が待っているのだ。

「特集 日本列島が蒼ざめる『最悪シナリオ』2016」より

週刊新潮 2015年12月31日・2016年1月7日新年特大号掲載

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