星野リゾートトマムを買収した中国人「富豪投資家」失踪のウラ

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 日本円にして総資産約9300億円、中国国内の長者番付17位という大富豪が突然消息を絶つ……しかもつい先日、北海道・占冠(しむかっぷ)村の星野リゾートトマムを約183億円で買収した中国企業のオーナーだけに、驚きは日中双方に広がった。

 郭広昌・復星集団会長(48)が12月10日午後から、周囲と連絡がとれない――中国メディアがこう報じたのは11日。

「同日夜、グループ傘下の復星医薬が“司法機関の調査に協力している”“重大決定には参加でき、営業は正常”との声明を発表。事実上、当局の拘束もしくは監視下にあることを認めた形です」(国際部記者)

 郭会長が起業した復星集団は、中国最大級の民間投資企業。2000年代からは国内外の企業を積極的に買収するようになった。

「買収先に積極的に出資し、経営は以前からの体制に任せるというビジネススタイルが似ているため、“中国のウォーレン・バフェット”と呼ばれています」(ジャーナリストの高口康太氏)

 そんな郭会長に、いったい何があったのか。習近平政権が進める腐敗撲滅運動の対象は、党幹部や国営企業、軍人のはずで、

「民間企業のトップが拘束されたという例はほとんどありません」(同)

 そこで囁かれているのが、“上海ビジネス界のドン”上海市友誼集団のトップ・王宗南氏との関係。

「王氏は今年8月、収賄罪で有罪になりましたが、その裁判で、王氏が復星集団に不正な利益供与をした、と認定されたのです」(同)

 もうひとつは習政権と対立する、江沢民元総書記が中心の“上海閥”とのかかわりである。

「起業家のほとんどは、大物政治家や官僚に賄賂を渡して、自分の後ろ盾になってもらうのが一般的」(同)

 郭会長も1992年の起業時、江沢民政権下で権勢をふるった“上海閥”に袖の下を渡した可能性は高い。

「その件の捜査なのか、または“上海閥”政治家に対する捜査への協力や情報提供を求められたのか」(同)

 結局14日、4日ぶりに姿を現し、帰宅した郭会長。だがこれで一件落着とは言えないほど、コトの闇は深そうである。

週刊新潮 2015年12月24日号掲載

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