休みのない天皇陛下 健康診断は毎日2回 切った爪も保存

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毎日検便、週1検尿

 便も毎回チェックされた。天皇は用を足したあと水を流さず、侍医は夜の拝診の前後に御厠場(トイレ)を拝見、侍医日誌と呼ばれるカルテ(和紙で和綴)に毛筆で記録した。また、週1回はおじゃじゃ(小水)を採取して精密な分析が行なわれた。

 このほか、週1回、30分から1時間ほどの定期健診があった。

「定期拝診のときにはパジャマを脱ぐのですが、天皇は部屋中に脱ぎすてるといった感じで勢いよく裸になったそうです。そして、丸椅子に座った天皇の周囲を侍医が歩きまわって拝診。リンパ腺は手で触れて確かめ、胸や背中は打診してから聴診器をあて、横臥してもらってお腹を拝見、さらに血圧を測りました」(米窪さん)

 体重は月末に量った。その日の朝、分銅式で全体に蒔絵が施された体重計が御寝室の近くに置かれる。目覚めた天皇は眼鏡を外してパジャマ姿のまま体重計にのり、着替えを済ませるとパジャマが侍医に手渡された。体重計の数値からパジャマの重さを引いたものが天皇の体重というわけだ。

「ちなみに、足の爪を切るのも侍医の仕事でした。天皇の爪は固く扱いが難しいので専用の爪切り道具(普通の爪切り、曲がった爪用の鋏の形をした爪切り、爪を磨くヤスリ)を駆使して、手術に慣れた外科医が担当しました。手の爪はいつも皇后が切ってくれるので、侍医たちには触らせなかったといいます。向い合って仲良く爪を切る両陛下の様子が目に浮かびます」(米窪さん)

 爪や髪の毛は女官が集めて年月日を記し、封をした。新任の者がゴミ箱に捨てようものなら、大目玉を食ったそうだ。

デイリー新潮編集部

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