『ぐりとぐら』作者が母親たちへメッセージ「子どもはたいがい臭いもの」

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 子どものヨダレやハナミズが苦手、という人は珍しくない。

 確かにお気に入りの洋服に見ず知らずの子どもからいきなりハナミズをなすりつけられたら、嫌だというのもわからなくはないが、他人の子どものみならず自分の子どもでもちょっと……という親もいるという。ネットの人生相談でも「わが子のヨダレ」問題についての相談がいくつも掲載されている。

 こうした問題についてどう考えればいいのか。

 累計400万部を超えるベストセラー絵本『ぐりとぐら』の作者である中川李枝子さん(80)は、新著『子どもはみんな問題児。』の中で「子どもはたいがい臭いものです」と語っている。

 実は作家となる前には長年保母をしていた経験を持つという中川さんの考えを聞いてみよう。(以下、同書より)

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■べたべたで、ねとねと

 汗と日なたのにおい、おまけに汚い。
 ハナ、ナミダ、ヨダレ、ハナクソ、分泌物旺盛。
 何にでも触るから手はべたべたで、ねとねと。
 それが子どもだと私は思うのです。
 
 ところが、「子どもは汚いから触るのは嫌だ」と言うお母さんがいるとか。「幼稚園で泥んこ遊びをすると洋服が汚れるから、そのような遊びはやらせないでください」との声もあるそうです。

「ちょっと洗えばすぐにきれいになるじゃない」と言いたくなります。
 子どもの肌は弾力があって、ぴちぴちしていて、押しても戻ってきます。
 髪はつやつやで、手足がむちむちしていて、瞳の澄んできれいなこと。
 手先、足先をしげしげと見ますと、爪は貝殻のようでとてもきれいです。
 
 園長先生と私だけで始めたみどり保育園もしだいにかたちをなしてきて、ほかにも保母さんが働くようになりました。その一人は、何をやるにもとても丁寧。そして清潔家で、子どもの顔をふくのが大好きでした。

■いくら汚れたって大丈夫よ

 お湯で絞った温かいタオルで、口の周りやほっぺたをしょっちゅうふいてやっている。
 子どもがうっとり気持ちよさそうにしている間に、みるみる汚れがとれて、いいお顔が出てくるのを見ていると、「私も一度、ああやって顔をふいてもらいたい」とうらやましくなったものです。

 もうひとつ、私が保育園で大好きだったのがプールでした。
 プールに入れば、あっという間にどの子もぴかぴかになってしまう。
 泰西名画に出てくる天使どころではありません。保育園の子はもっときれいで、ほんものの天使はこれだと思うくらいでした。
 ですから、「いくら汚れたって大丈夫よ」とお母さんたちに言いたいのです。

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 いろいろ気にするのではなく、「そもそもそういうもの」と思うだけで気が楽になる方もいるのではないだろうか。

 同書は中川さんが初めてお母さん向けに語り下ろしたメッセージ集。「わが子にもにくたらしいところがありました」「ケガや命にかかわる危険は叩いてでも教える」など、自らの子育てを振り返った“告白”のほか、「ナンバーワンは、お母さん」のような悩めるお母さんへの励ましも数多く収めている。

デイリー新潮編集部

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