誰でも簡単! 花の名前が覚えられる タモリ倶楽部でも話題「屁糞蔓」って?

旅・街歩き

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 やっと春らしくポカポカ暖かい日が続くようになりました。陽気に誘われて、野や山へとハイキングに出かける人も多いのではないでしょうか。道端には色とりどりの花が咲きほころんでいます。でも、美しく可憐な花々も植物が苦手な人には何の花かさっぱり分かりません。名前が分かったらもっと楽しみが増えるのに、と思っているハイカーもいることと思います。ところが、花の名前がすぐ分かり、簡単に覚えられる方法があるのです。

■和名に隠された秘密

 花はその「和名」に秘密があります。花の色、葉の形、薬効、地名などが名前に含まれているのです。その秘密を教えてくれるのが、増村征夫著『和名の由来で覚える372種 野と里・山と海辺の花ポケット図鑑』(新潮文庫)。この本では、写真やイラストを添えて命名の由来を分かりやすく説明し、花の名前が簡単に覚えられるように紹介されています。

花の形が船のイカリにそっくり。(「碇草(イカリソウ)」)

 まず、形から名前を覚えられる花はたくさんあります。「碇草(イカリソウ)」は、紅紫色の花の形が船のイカリにそっくりです。「釣鐘人参(ツリガネニンジン)」は、紫色の釣鐘型の花が輪生しています。「座禅草(ザゼンソウ)」は、まるで仏像の光背のような暗紫褐色の仏炎苞に花序が包まれていて、座禅をしているお坊さんの姿にそっくりです。

「軍配昼顔(グンバイヒルガオ)」は、5センチ前後の葉っぱが相撲の行事が持つ軍配に似ている植物です。花はアサガオに似ていますから(ヒルガオとアサガオは同じヒルガオ科)、どんなに植物オンチのあなたでも、「小学校の夏休みの宿題で観察したアサガオのような花と軍配の形の葉っぱ」という組み合わせで、間違いなく当てることができます。

 誰でも知っている花の名前でも、その由来が意外に知られていないものもあります。たとえば「菫(スミレ)」。これは「距(きょ)」という花のうしろの出っ張った部分が、大工の墨入れ壷に似ていることからつけられたものです。

ぷくぷく太った狸に見える?(「狸豆(タヌキマメ)」)

 果実の形から命名された植物もたくさんあります。「大犬の陰嚢(オオイヌノフグリ)」は、実の形がまさに犬の陰嚢(ふぐり)を思わせるもの。ポケット図鑑では、果実とこちらに尻を向けて陰嚢を晒している犬のユーモラスなイラストが並べて描かれています。「狸豆(タヌキマメ)」は、まめ科の植物。褐色の毛に覆われた豆果の集まりが、じっと見ているとぷくぷく太った狸に見えてきます。こちらも豆果と狸の姿形を較べてみると本当にソックリ。

■「弟切草」「屁糞蔓」の由来とは

 名前にドラマが隠されている植物もあります。「弟切草(オトギリソウ)」は、夏に1.5センチほどの黄色い五弁の花を咲かせる薬草です。日本全国に自生するのでよく見かけますが、命名の由来は壮絶です。鷹匠の兄がタカの血止めによく効く秘薬としてこの草を使っていたところ、それを弟が他人に漏らし、怒った兄が弟を切り殺したことにちなんで名づけられたというのです。弟切草の葉には多数の赤黒い斑点があり、それが切られた弟の血潮だといいます。

可憐な外観の美しい花なのに!(「屁糞蔓(ヘクソカズラ)」)

 名前と外観が違うものもあります。かわいそうなのは「屁糞蔓(ヘクソカズラ)」。茎や葉、特に果実を揉むとオナラのような悪臭を放つので、こんな悲惨な名前をつけられてしまいました。が、白い花びらで内側が暗紫紅色の可憐な外観をしており、早乙女花という別名もあるくらいの美しい花です。それでも、あまりの匂いに近づく昆虫はいないとか。美しすぎるがゆえに、ムシを寄せ付けないための防衛体制が出来てしまったのでしょうか。人間だって、いくら美人でも臭い匂いを発していたら、男性は近づきませんよね。

 このように花の名前が分かると、野山を歩くのもいっそう楽しくなります。『和名の由来で覚える372種 野と里・山と海辺の花ポケット図鑑』はポケットサイズで、知らない花を見かけたらすぐ取り出して調べることができる、ハイカー必携の一冊です。

デイリー新潮編集部