県民も「だいたい合ってる」 群馬県民黙認の“グンマ”漫画

文芸・マンガ

  • 共有
  • ブックマーク

 昨今「あまちゃん」の北三陸を筆頭にさまざまな「地元」が注目を浴びています。しかし「都道府県の魅力度ランキング」で最下位を取ったこともある群馬県の場合、少々状況が違うようで……。

 その認知度の低さにつけこむように、「グンマー」なる架空の群馬像がネット上で投稿され続けているのです。たとえば埼玉県とグンマーの間の“国境”を越えると裸のグンマー人が槍を構え、警備隊はどうみてもアフリカの軍隊。成人式には櫓の上からバンジージャンプを行い、砂漠の掘っ立て小屋にはグンマー県庁のキャプションが。「未開の地」「地球上に唯一残された秘境」「グンマーからは生きて帰れない」等々。事実無根で嘲笑的な群馬像が、ネット上で増殖し続けています。

■群馬探検隊

 こうした悪意のある「グンマー」像に業を煮やしたのか、この3月、群馬県庁は俳優藤岡弘、さんを隊長に「群馬探検隊」を発足しました。県内各地を調査して「原住民が生活する未開の地グンマー」が実在しないことを証明するのだそうです。その過程で群馬県の自然や特産品を宣伝できる、まさに一石二鳥のプロジェクトです。

【群馬県公認 群馬探検隊】サイト

■県民が黙認する「グンマ」漫画

「グンマー」と「群馬」。ネットとリアルの虚実の争いに、もう一つの「グンマ」が登場し、いま話題となっています。群馬在住漫画家による初の「グンマ」漫画『お前はまだグンマを知らない』がそれ。

 チバ県からグンマ県に転校した主人公が体験するさまざまな「グンマ」の真実。朝一番から受けた「起立、注目、礼」の洗礼。トチギのスパイと疑われ、試される上毛かるた「つる舞う形のグンマ県」。他所者(よそもの)が食べれば死に至るグンマ人のソウルフード「焼きまんじゅう」などなど。

トチギのスパイと疑われ、試される上毛かるた「つる舞う形のグンマ県」

【グンマの真実 その七「団分け」】
グンマの運動会は赤白の組分けではなくグンマを取り囲む山々の名前の団に分ける

 事実無根の「グンマー」と違い、群馬の文物、習慣を元にした「グンマ」漫画には県民も「だいたい合ってる」と黙認せざるを得ません。それどころかむしろ大いに愉しんでいるようで、くまざわ書店JR高崎店の今井さんによれば「305冊仕入れましたが10日で完売しました。長年コミックスを担当していますがこんなこと初めてです」とのこと。

 ちなみに作者の井田ヒロトさんは、群馬県で700年続く旧家の末裔。脈々と流れる県民の遺伝子が「グンマ」漫画を描かせたのかと思いきや、実はそうではないと仰る。「生まれたのは神奈川で、群馬に来たのは中学入学のとき。だから群馬の変わったところ、おかしいところが分かるんですよ。だって生まれたときからずっと群馬だったら、他所と何が違うのか気づきませんから」。


デイリー新潮編集部