現役アイドルが「週刊少年ジャンプ」編集部に潜入取材、人気漫画の制作現場で秘密に迫る

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人気漫画の制作現場で秘密に迫る

 テレビ東京のドラマ枠「ドラマ24(金曜深夜)」が来年1月に50作目の節目を迎えるにあたり、同じく来年で創刊50周年となる「週刊少年ジャンプ」編集部の全面協力のもと、連続ドラマ「オー・マイ・ジャンプ~少年ジャンプが地球を救う~」(1月12日スタート)が放送されることがわかった。

 現在でも200万部近い発行部数を誇る「週刊少年ジャンプ」だが、映画「バクマン。」で編集部を完全再現したという映像以外に、制作現場が公になることはほとんどなかった。このかなり「レア」な編集部に潜入取材し、そのレポートを発表しているのは、何と現役のアイドル、でんぱ組.incの夢眠ねむさんだ。

明らかになった、漫画家の企み!?

 夢眠さんによる「週刊少年ジャンプ」編集部のレポートが載っているのは、彼女の最新刊『本の本 夢眠書店、はじめます』。出版業界のプロフェッショナルたちを訪ね、その極意を聞き出した貴重なルポだ。

 本書では、若手編集者である頼富亮典氏と同誌で『斉木楠雄のΨ難』を連載中の漫画家、麻生周一本人が登場し、以前から夢眠さんが気になっていたという、漫画家と編集者との駆け引き、ファンが注目する作品中のアオリ、愛読者アンケートをめぐるバトルなど、編集部の秘密に迫っていく。

夢眠 担当編集者って、作家さんのネームにどれくらい口出しするものなんですか? 私、漫画家さんと編集者さんのイメージっていうのもあって、ネームを見せられて「ちょっと、これじゃダメだよ! ボツ!」みたいな(笑)。(略)

頼富 ネームでボツが出ないように、打ち合わせの時点でしっかりお話しして、流れをきちんと決めるようにしています。

麻生 こっちも全ボツを喰らわないために、すごいギリギリに出すんで……。

夢眠 時間切れを狙って!?

麻生 もう直す時間ないだろうと思って(笑)。

夢眠 お互いの心理を読み合いながらやるっていう(笑)。(同書より)

 ネームとは、漫画を描いていく際に、コマ割り、構図、キャラクターのセリフや配置などを大まかに表したもの。週刊という締め切りまでの時間が限られる中でどのように作品が生まれていくのか──このやり取りを読むと、毎号、すべての作品で、漫画家と編集者との間で丁々発止が繰り広げられていることがわかる。

アオリは共同作業で、かつ挑戦状でもある

 漫画家の麻生氏によると、読者からの感想で多いのは「アオリがおもしろかった」というものだという。連載作品の最初と最後に配されるメッセージ「アオリ」は、その名の通り、編集者が読者の興味を煽るために入れられる。ネット上にはアオリのまとめサイトが存在するほど、ファンからの注目度も高い漫画のディテールだ。

頼富 ストーリー漫画は、絵が裁ち切り(紙面の端)まで描かれていることが多くてアオリを入れるスペースが無かったりするんですけど、麻生先生は、枠を設けてあるので、余白にアオリを入れられるんです。

夢眠 じゃあ、これはふたりの共同作業なんですね!(略)

麻生 僕からの(編集者に向けた)挑戦状です(笑)。

頼富 「中2っぽいアオリを考えてください」って言われた回が大変でした。「『作中のすごくつまらない漫画にアオリがついてて、それがすごい中2臭い』っていうギャグをやりたいんで、そのアオリを考えてください」と言われたんですけど、そのときはどうしようかと……(笑)。(同書より)

 これも、漫画家と編集者との関係が決して一方的でなく、交互にボールを投げ合って作品を形作っていくことがわかるエピソードだ。それに気づいた夢眠さんは、同書の中でさらにふたりの本音を引き出すことに成功している。これまで数多くの名作を生んできた「週刊少年ジャンプ」の秘密は、実はここにあるのかもしれない。

デイリー新潮編集部

2017年12月15日

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