韓国は嫌い 日本は大好き!【中国人若者匿名座談会】

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反日」より「共産党賛美」に重点

 ――話はガラリと変わりますけど、中国の愛国教育について聞きたいと思います。日本では愛国教育を反日教育とイコールで捉えている人も多いのですが、どうでしょう?

 愛国教育=反日教育というわけではありません。愛国教育というのは歴史とか政治の科目の中で教えていくものです(中国には社会という科目はなく、歴史や政治などの細かい科目に分かれている)。国語や歴史、政治の授業の中で「模範解答」があり、それはやはり「愛国的」なものになります。そこには日本人の蔑称(小日本鬼子(シャオリーベングイズ)など)も出てきますが、でも、とくに日本の悪口だけを学ぶものではありません。学校教育よりもむしろ、テレビのドラマや映画に抗日を描いたものがたくさんありましたので、その影響のほうがむしろ反日に結びついているかもしれませんが……。

 まったく、うんざりですよね。抗日ドラマの中では中国人の役者が変な日本語を使っていて、耐えられない。

 私の母親はすごくドラマが好きなので、ときどき私に「今の日本語、どういう意味なの?」と聞くんですけど、「バカ野郎」とか「将軍」とか変な言葉を覚えてしまって困っちゃいますね(笑)。

 「反日教育」という言葉には大反対ですね。日本でこの言葉を使うのをやめてほしいと思います。

 愛国教育では特定の国を非難することよりも、中国共産党の賛美に重点がおかれます。

 苦難の戦争を乗り越えて現在の中華人民共和国が建国できた。今の私たちがあるのはすべて中国共産党のおかげ、というところが結論です(笑)。

 自分たちは強い国を倒したのだからこれだけ偉大なのだ、という宣伝方法ですね。日本だけでなく、朝鮮戦争のときの国連軍などに対しても同様の手法で非難しています。

 ――中国には愛国基地(愛国教育の一環で、戦争や中国共産党に関連した資料保存や展示を行う博物館などの施設)が各地にたくさんありますが、行ったことはありますか。

 高校生のとき、北京郊外にある盧溝橋の抗日戦争記念館に行ったときには怖くて泣いてしまったんですが、去年、友だちと行ったときには、あれはあくまでも中国共産党の宣伝(プロパガンダ)の一環だとわかりました。施設の展示の最後のほうに「この戦争で私たちは勝利しました」と書いてあったのが印象的だったのですが、戦争をなくすためにこうした記念館を建てているのではないのか、と思いました。参観者に対して、勝利したという「結果」を最後に印象づけるというのは、何か違うのでは、と感じました。よくいわれているように、中国政府は抗日の話を持ち出すことによって、国内にある人民の不満の矛先を「日本」に向けさせようとしていると思います。

 ――なるほど。優秀な3人は中国政府のことを客観的に見ていますけど、一般的な考え方はどうなんでしょう?

 一般人はそこまで客観的に物事を見ていないですね。考えたこともないかもしれない。中国人の若者はふだん国内メディアのことを信じていませんが、海外の情報は真偽がよくわからないので信じてしまいがちです。これは日本の若者も同様ではないかと思います。

 中には日本が悪い、日本政府が悪いという人もいますけど、実際には日本の化粧品が安くて品質がいいから好き、という女性はけっこう多いわけですし、日本嫌いといっても、別に強いポリシーがあるわけではないのです(笑)。

 北京や上海などの沿海部の都市では、日本製品があふれていますが、(比較的保守的な)内陸部の都市などでは、日本製品は絶対に買わないというエキセントリックな考えを持った人もいるのは事実です。でも、今の中国ではさまざまな製品を作る機械や部品、部材に日本製品が使われているので、最終製品が日本製でなかったとしても、途中のどこかの段階で関係しているのですが、そこまでは想像が及ばないという人も多いと思います。

 ――西安など内陸部の都市では国外の情報があまり行き渡っていないという面もありますね。

 そうですね。中国は広いので、経済格差だけでなく、情報格差もあると思います。それに、北京や上海では、企業や飲食店、街角などで生身の日本人と接触する機会が多く、本当の日本人はまじめで礼儀正しいのだ、という姿を目にすることができますが、内陸部ではそうした機会はぐっと減ってしまい、日本人のことを誤解している人もいると思います。

 残念なことですね。そういえばこの間、北京の友だちからわざわざ電話がかかってきまして、日本で資生堂の化粧品を買ってきてくれ、っていわれました。北京でも売っていますよ、といったんですが、どうしてもメイド・イン・ジャパンのものがいいんだ、といわれて……。

 中国で売っているものに関してはメイド・イン・ジャパンと書いてあっても信じられない人もいるからですね。

 私の母が中国人は品質のいいものは輸出に回すけれど、日本では逆で、品質のいいものは日本国内で使用するといっていました。

 ――必ずしもそうとはいえませんが、中国人は「だから自分たちは差別されているのだ」と感じているという話は取材しているとよく耳にします。

 私の家も、私が子どもの頃にパナソニックのテレビを買いましたが、父は「日本製品なので安心。そのまま配達してください」といったのですが、母は心配し、箱を開けて確認していました(笑)。その数年後、今度は中国メーカーのテレビを買ったんですが、そのときは父も箱を開けてチェックしていましたね(笑)。

 確かに中国産は壊れやすいイメージですね。

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