それでも韓国と仲良くしないとダメなのか? 「経済」「観光」「安保」のメリットは…

国際 韓国・北朝鮮

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 今の彼らは、「反日」教に支配され、「慰安婦像」をご本尊に集団自殺への道を歩んでいるようにしか思えない。理性を捨てて「日韓合意」を裏切った上、感情に身をゆだねて竹島に像の設置を目論む国。ならば問いたい、それでも日本は韓国と仲良くしないとダメなのか。

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 慰安婦問題ひとつをとっても、これで日本は3度目の裏切りに遭った。1965年の日韓基本条約、1995年のアジア女性基金に続き一昨年の日韓合意と、3度も億単位の金を拠出したのにこの有様だ。

 仏の顔も三度までの譬えもある。ネット上で叫ばれる「断交」「断絶」は、「暴論」に過ぎないのか。詐欺の被害に遭ってまで、韓国と仲良くすることにどんなメリットがあるのだろうか。

■減少確実な訪韓観光客

韓国一の企業・サムスン

「経済的に見れば、関係が悪化して困るのは、どう見ても向こう。韓国は放っておけば良いのです」

 と突き放すのは、韓国経済の専門家で「週刊東洋経済」元編集長の勝又壽良氏だ。

「日本と韓国の貿易を見ると、戦後一貫して日本の黒字、韓国の赤字。つまり、韓国は日本への輸出より輸入が多い国なのです。量だけの問題でなく、質も同じ。韓国一の企業・サムスンのスマホの部品が日本製であるように、韓国、とりわけその製造業にとっては、日本からの部品の輸入は必要不可欠です。一方の日本は、韓国から輸入しなくては手に入らないものなどありません。やはり韓国を代表する企業・現代自動車が日本に進出したものの、年間1000台も売れない年が続いた末に撤退したのは好例です」

 観光も同様だ。2012年、352万人を数えた日本人の訪韓観光客は、大統領の竹島上陸で一時は半減し、昨年でも230万人。日韓合意の裏切りで、さらに大幅に減ることは確実だから、韓国にとってこれが大打撃なのは間違いない。

 勝又氏が続ける。

「そもそも、現在の韓国経済の発展が、日本の投資と技術協力なしには成立しえなかったのは誰もが認めるところ。しかし、韓国は冷戦終結後、旧東側諸国とも付き合えるようになり、中国に傾いていきました。今や中国が輸出入とも最大の貿易国ですが、昨年、韓国はアメリカの要請で、ミサイル防衛システム『THAAD』の導入を決めた。これに中国は激怒し、韓流ドラマや化粧品の輸入を止め、韓国への観光客も20%減らしました。本来ならば、ここで日本と緊密にならなければいけないのですが、逆にスワップ協議まで中止に。韓国はもともと外貨準備高の大半が債権で、これらはすぐに現金化しにくい。スワップ中断の今、金融危機でも起きたらウォンは一たまりもないのです」

 そうした判断すら出来ないのだから呆れたものだ。

■心地よい言葉の誘惑

 他方、安保問題はどうか。

「地政学的に見れば、朝鮮半島は、中国、ロシアといった大陸国家と、アメリカ、日本の海洋国家のせめぎ合いの地となってきました」

 と述べるのは、韓国防衛駐在官も務めた元陸将の福山隆氏である。

「そして現在、韓国は戦争状態が続いたままで、あの北朝鮮と向かい合っている。朝鮮戦争の際、日本から米軍機が出撃したのは延べ130万回。それらの航空機が投下した爆弾の量は、広島の原爆46個分に相当します。日本という後方基地がなければ、武器弾薬や食糧といった物資、兵員の補給はままならなかったし、それは今も同じ。米軍といえども、在日米軍基地がなければ、半島有事に対応することは出来ないでしょう」

 一歩間違えれば、韓国にとって死活問題へと繋がるのが、日本との関係なのだ。

 むろん、この問題は裏表。日本にとっても、韓国が敵側に落ちれば大きな脅威となるのは間違いない。ゆえに韓国とは手を携えるべしという議論もあるけれど、

「落とし穴もある」

 と言うのは、産経新聞の黒田勝弘・ソウル駐在客員論説委員である。

「7世紀の白村江の戦い以来、日清・日露戦争、満州国建国に至るまで、日本は北からの脅威に備えて、朝鮮半島に“入れ込んだ”。しかし、逆にそのことによって、引き込まれ、足抜け出来なくなり、結果、海洋国家のアメリカと対立して、戦争、敗戦に至りました。その歴史的教訓は“北方からの脅威に備えよ”“しかし、アジアに深入りするな。海洋国家の分をわきまえよ”というもの。朝鮮半島との付き合い方はこれが秘訣で、距離をとって付き合うことが必要。決して“アジアと仲良く”“アジアと共に”“東アジア共同体”などの心地よい言葉に誘惑されてはいけないのです」

 韓国をクールに利用する、すなわち「用韓」の考え方が重要だと言うのである。

悪韓論』著者で、元時事通信ソウル特派員の室谷克実氏も言う。

「日本人には“隣国と仲良くしなければいけない”“仲良くしなければアジアで孤立する”という精神が根強く残っています。これが韓国への甘い対応を生んでいるのですが、世界を見渡せば、アメリカとメキシコ、イギリスとアイルランドなど、近くにある国は必ずしも関係は良くない。近いが故に利害対立は起きるもの。隣国であるというだけで仲良くしなければいけないというのは、町内会と国際社会を同一視した幼稚な主張で、『世界標準』から外れた誤った考え方です」

 この点、未だ“関係強化”の社説を並べる「朝日新聞」「毎日新聞」などはいざ知らず、大半の国民がそうした事実に気付かされたのが、今回の慰安婦像を巡る一件ではなかろうか。

 すなわち、これで日本が対韓融和などという失敗を二度と繰り返さないのであれば、元慰安婦への支援金「10億円」も、決してドブに捨てたことにはならないのかもしれないというワケだ。

特集「竹島に『慰安婦像』は時間の問題! それでも韓国と仲良くしないとダメなのか?」より

週刊新潮 2017年2月2日号掲載

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