「SPF豚」を選ぶと安心! スーパーで肉をどのように選べばいいのか 「成長促進のために餌に薬が混ぜられている肉が」

ドクター新潮 ライフ

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人が摂取するとどうなる?

 ここで気になるのが、抗菌剤使用の食肉を人が摂取するとどうなるのか、だ。

 科学ジャーナリストの植田武智氏がこう話す。

「家畜の中で一部の細菌が抗菌剤に耐性を持ってしまうことがあります。すると薬が効きにくくなる、もしくは効かなくなる。こういった菌のことを“薬剤耐性菌”と言います。そうした“薬剤耐性菌”が食肉に付着してしまった場合、肉を加熱不十分で食べると、耐性菌が人の体内に入る可能性が出てきます」

 最悪の場合、人が病気になって抗生物質を服用しても、効きづらくなったり、効かなかったりする恐れがある。これが近年、懸念されるようになった「薬剤耐性菌問題」だ。イギリスのレポートによると、このまま何も対策が取られないと、2050年には全世界で薬剤耐性菌による死亡者数が1000万人に上り、がんの死亡者数を上回ると想定されている。

「良質な生産者を買い支える」

「日本は世界的に見て抗菌剤の使用量が多いといえます。18年時点で、家畜1キロ当たりに使用された薬剤量は中国に次いで、世界第2位でした。22年に国際獣疫事務局が発表したデータによると、動物の体重1キロ当たりの抗菌剤使用量の世界平均が約93ミリグラム。農林水産省の同年のデータでは、日本は約140ミリグラムで世界平均を大きく上回っています」(植田氏)

 人体への影響を重く見たEUは、成長促進を目的とする飼料添加物としての抗菌剤使用を原則禁止にしている。

「しかも11年から22年にかけて、動物用抗菌剤の販売量を53%も減少させました。特にドイツやオランダは、薬剤耐性菌の割合が低下したこともはっきり分かっています」(同)

 日本の抗菌剤使用量の多さについては、予防目的も関係していると指摘するのは、ある獣医師だ。

「豚や鶏は群で飼育しています。肺炎や下痢になった個体を1匹ずつ治療するのは現実的ではありません。他の個体に伝染している可能性があるためで、最悪の場合、数百匹を殺処分せざるを得なくなる。それを防ぐため、病気になる前から抗菌剤を予防薬として使うわけです。劣悪な環境で生産性を追求する悪質なところはありますが、昔からの習慣として使っている農家も少なくないですね」

 予防目的での使用は原則認められていないが、従わない農家が現存するわけだ。

 農水省も家畜動物に対する抗菌剤の販売量を減少させるように努めているが、減り具合は鈍い。こうした現状を打破するためにはどうすればいいのか。

 植田氏は、

「消費者が、抗菌剤不使用と銘打たれた食肉を選んで良質な生産者を買い支えることです」

 と、説く。

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