「看護師の給料は安いのに、製薬会社の役員報酬は1億円も当たり前」 甘い蜜を吸う人々「コンサルは地方自治体を“食い物”に」
【全2回(前編/後編)の前編】
「節度」に「慎み」――。子供の頃、誰しもその甘い蜜を吸ったことがあるツツジの花言葉である。ところがどうしたことか、大人になってちまたを見渡せば、甘い蜜を吸っているのは「節度」も「慎み」もかなぐり捨てた手合いばかり。浅ましき“荒稼ぎ”の実態に迫る。
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日頃から節制に努め“晩酌はビールではなく発泡酒で我慢”という向きも少なくあるまい。しかし10月に入り、いつものように発泡酒を買って異変に気付く。酒税法改正により、値上がりしたのだ。容赦のない物価上昇を憂いつつあおる発泡酒は、常にも増して苦かったはずである。
一方で、いつの世にも甘い蜜を吸っている人たちがいる。機を見るに敏な彼らの手口は、時代を映す鏡にもなっているから興味深い。
まずは、過疎化が進む地方自治体で起こった“悲喜劇”を紹介しよう。
「過疎にあえぐ自治体に近寄り、ビジネスに繋げようとするコンサルが全国に存在しています。拙著では福島県国見町で起きた過疎ビジネスを取り上げました」
そう語るのは『過疎ビジネス』の著者で、河北新報社記者の横山勲氏である。
「2022年、人口約8000人の国見町で、地方創生の一環として高規格救急車のリース事業が計画されました。三つの企業から受けた、4億3200万円の“企業版ふるさと納税”の寄付金を財源に、高規格救急車を12台購入し、ほかの自治体に貸し出して利益を得ようという事業です」(同)
なんとも耳を疑うようなプランではないか。
「この不可解な事業が始まった背景には、コンサルの存在がありました。宮城県を拠点とする防災ベンチャー『ワンテーブル』の社長(当時)が〈総務省・地域力創造アドバイザー〉という肩書でコンサルとして関わり、国見町をうまくコントロールしていたのです」(同)
町の“政局”も作用した。
「2年後に町長選を控え、目玉となる実績が欲しかったであろう当時の町長に対し、このコンサルは“救急車リース事業”を提案しました。町長はこのアイデアに飛びつき、国見町はワンテーブルに“救急車リース”を発注。ワンテーブルは“企業版ふるさと納税”で国見町に寄付していたある企業のグループ会社に救急車を発注したのです」(同)
自治体が業務をコンサルに“丸投げ”してしまう理由
しかも、救急車を受注した会社とワンテーブルは業務提携の間柄にあったというから、驚愕(きょうがく)する。
「ワンテーブルはこの一件で4億6000万円以上の売り上げを得ました。当のコンサルは、ある打ち合わせの折に“超絶いいマネーロンダリング”と言ってのけたばかりか、地方議員のことを“雑魚”呼ばわりしていた。結局、一連の流れが明るみに出て議会が問題視すると、町民の猛反発に遭い、事業は中止になりました。用意された救急車は町外の消防署などに譲渡されています」(横山氏)
ちなみに件のコンサルには、国見町に“学園”を新設する構想もあったとか。
「この事業費は50億円ともいわれ、コンサルは学校の運営にも関わるつもりでいた。放っておいたらとんでもないことになるところでした」(同)
いずれにせよ、コンサルの存在が国見町を見舞った混乱の原因なのは明らかだ。気になるのは、どれほどの自治体がコンサルを頼りにしているのか、である。
「地方自治総合研究所が9年前に行った調査では、1342自治体のうち、実に77.3%が地方創生の計画づくりをコンサルに委託していました。自治体が業務をコンサルに“丸投げ”してしまうのには、大きく分けて二つの理由がある。一つ目は、小泉純一郎政権下で進められた“構造改革”により、地方公務員の人員が大幅に削減されたことです」(同)
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