パワーワード「命の砂時計」を生んだGMO熊谷社長の謝罪会見で露呈したリスク 中核の決済事業への不安視を払しょくできるか
2か月以上が経過
GMOインターネットグループが提供するFX関連サービスが不正アクセスを受けた問題で、同社の熊谷正寿社長らが11月2日、会見を開いた。顧客情報を守れず、一部の顧客に資産上の被害も生じたことを謝罪し、システムの脆弱性への対応が不十分だったことを認めた。しかし、会見で明らかになったのは、個別のセキュリティ対策の問題だけではない。組織としてリスクを把握し、経営陣に報告する体制にも課題があった。
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会見内容をおさらいしておこう。熊谷社長は「お客様をお守りすることができず、誠に申し訳ありませんでした」などと謝罪し、涙を流す場面もあった。今回の不正アクセスで攻撃者がサーバーに侵入したのは8月5日とされる。一方、会社側が顧客からの問い合わせを受けて調査を始めたのは10月19日で、不正なプログラムの配布を確認したのは翌20日だった。侵入から発覚まで、2カ月以上が経過していたことになる。
ラザルスの仕業か
システムの脆弱性については、2024年4月の段階でGMOの子会社の専門家が指摘し、緊急メンテナンスを計4回行っていたものの抜本的な対策には至らなかった。会社側は「クラウドサービスの安定的な稼働を重視し、セキュリティ対策との優先順位の判断が十分でなかった」と説明した。脆弱性に関する指摘は当時、熊谷社長には報告されていなかったという。今回の会見では、セキュリティ上の技術的な問題と同時に、組織の報告・管理体制などガバナンスの不備も浮き彫りになった。
GMOは10月末、「犯人の特定につながる有力な情報」を警察や関係先に提出したと明らかにした。その後、共同通信は、GMOインターネットグループが一連の不正アクセスについて、北朝鮮系のハッカー集団が攻撃側にいる可能性が高いと分析していると報じた。
北朝鮮系ハッカー集団として知られるラザルスの関与を問う質問に対し、熊谷社長は「捜査機関の邪魔になる発言はできない」として、詳細な説明を避けた。現時点で、同集団の関与が公的に確認されたわけではない。
どこか尊大な印象を
「このタイミングで会見して何を話すのかと思いましたが、あまり効果的な内容ではなかったと思います。何を言っても批判を浴びるのは仕方ないとしても、もう少し振る舞い方があったのではないかと感じました」
と、経済部デスク。一連の騒動への謝罪と顧客への補償方針を表明したこと自体は必要だったが……。
「その点は会見を開かなくても意思表示できることですよね。まぁ、トップが会見を開かないこと自体が批判を招く恐れがあるので、開催せざるを得なかったのでしょう。ただ、創業者としての理念や自らの信条を熱っぽく語る場面も少し場違いに感じました。自身がインターネットの発展にどれだけ寄与してきたか、自分自身がインターネットそのものであるかのように功績を訴えたうえで、“そんな自分でも今回の不正アクセスを防げなかった”という話に聞こえなくもない。被害者にすれば、不正アクセスの手口や今後のセキュリティ対策、補償の具体的方法など、本当に知りたいこととは直接関係のない持論の展開が目立ち、結果として、どこか尊大な印象を与えてしまったのではないでしょうか」(同)
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