「売名行為と思われないか」…「島津亜矢」が明かす熊本地震支援 故郷に飲料水6480本を届けた“歌怪獣”の素顔と、洋楽への挑戦【デビューから40年】
圧倒的な歌唱力から「歌怪獣」の異名を持つ歌手・島津亜矢(55)。デビュー40周年を迎えた今年7月、故郷・熊本を最大震度7の地震が襲った。被害の大きさに胸を痛めた島津は、飲料水6480本などの支援物資を被災地へ届けた。一方、演歌の枠を超えてポップスや洋楽にも挑み続け、英語の歌詞に悪戦苦闘したことも。被災地への思いと支援活動の舞台裏、そして歌手として新たな世界に挑み続ける理由を聞いた。
【全2回の第1回】
【聞き手・構成:中村竜太郎/ジャーナリスト】
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【写真を見る】5歳~29歳 「歌怪獣」になる前の島津亜矢、秘蔵写真
祈りを込めた「君が代」
――令和8年熊本地震が発生したときは、どのような状況だったのでしょうか。
その日は特別な日で、東京ドームで開催されたプロ野球のオールスターゲームで、国歌独唱をする準備をしている最中でした。するとスタッフさんが「熊本で震度7です」と教えてくれて、本当にびっくりしました。慌てて熊本に住む父と姉に電話し、無事を確認して少し安心しましたが、不安が拭えないまま、「多くの方が無事であってほしい」と祈りを込めて「君が代」を歌わせていただきました。
しかし、時間が経つにつれて被害の大きさが明らかになってきました。亡くなった方もいらっしゃって、本当に胸が締めつけられる思いでした。被害の大きかった宇城市(筆者註:最大震度7を記録)は母の故郷ですし、親戚も大勢います。何か力になりたい。でも、どうすればいいのかわからない。そんなもどかしさもありました。
不謹慎だと思われないか…
10年前の熊本地震の際、自治体に慰問活動を相談したところ、「そういう状況ではない」と説明を受けたことがありました。そのときは納得したのですが、今回は何が必要なのか、被災地の知人に尋ねてみたんです。すると、「水道が止まっているから、水が必要」と返事がありました。
そこで、あちこちからかき集めた2リットルのペットボトルの飲料水6480本を、被災地へ届けることにしました。ほかにもカップラーメンを用意しましたし、私自身、犬を飼っているので被災地のペットも心配になって、ペットフードやペットシーツ、おむつなども一緒に準備しました。支援物資を積んだのは、私のツアー用トラックだったんです。でも、そのトラックには「歌怪獣」の文字と私の姿が大きく描かれているんですね。そんなトラックで被災地へ行ったら、売名行為だとか、不謹慎だと思われないか。正直、ためらいがありました。でも、とにかくいま水が必要なんだから、どんな車であろうと、まずは届けることが先決だと思い、ツアートラックのスタッフさんにお願いしました。
ブログに届いたコメント
――支援物資を届けたあと、どのような反響がありましたか。
私にできたのは、ほんの気持ち程度のことでしたけれど、トラックが宇城市に到着した際に、沢山の方が入口のところで迎えていただき、大歓声と拍手が起きたと物資を運んでくださったスタッフさんが話してくれました。中には涙を流して喜んでいただき「本当に来てくださったのですね」、「亜矢ちゃんありがとう」と声も掛けていただいた方もいたようです。
また、ブログに直接、「ありがとう」「亜矢ちゃんのトラックを見て元気になった」といった温かいコメントをいただきました。地元の後援会の方からは、「家がぐちゃぐちゃで入れん」「飼い犬が動揺して、水を飲んでも吐き戻す。動物病院も閉まっている」といった話も聞きました。本当に心が痛みます。7月の猛暑のなか、停電でクーラーが使えなかったことも大変だったと思います。
支援物資が届いた宇城市に住む叔母は、「おにぎり一つ、アンパン一つがこんなにおいしいのか」と感謝していました。家の中を片付けたくても思うようにできない。ライフラインも復旧しない。心がすさんでしまうようなことがたくさんあります。そんななかでも、お風呂に入るときなど、日々の暮らしのなかで少しだけほっとする時間があることが救いだったようです。
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