【フランス大規模デモ】「どうして日本ではこんな報道になってしまうんだろう……」現地在住日本人ジャーナリストが語る真実
物価高への抗議も
デモで物価高への対策も訴えられるようになりました。物価高はフランスに限ったことではありませんが、今年に入り、アメリカのトランプ政権のイラン攻撃によって生じた情勢で、物価は目に見えて上がってしまったのです。物価高への対策も求めることになったことで、デモの意味合いが変節したわけではありません。
三種類の人々
こうして10月17日土曜を迎えます。
先に「デモが暴徒化したのではない」「デモと暴動は全く別の現象」と、まず押さえていただきたい点を話しましたが、この日、異なった三つの要素の人々がいました。
「デモ本来の人々」「ウルトラ左翼・ブラックブロック」「略奪だけが目的の人々」です。
「デモ本来の人々」は、高校生や大学生、抗議の趣旨に賛同した人々、労組などです。労組がデモに参加することで、デモはむしろ安定するのです。労組はいわばデモのプロで統制を取って動ける。デモに乗じる不審な者が紛れ込んでいれば排除します。デモの意図が誤解されれば迷惑をこうむるからです。デモ本来の人々が警察を挑発することはない。デモの途中や終了後に暴徒に豹変することもありません。
「ウルトラ左翼」「ブラックブロック」は、呼び名は違っても思想的にはほぼ同じです。議会主義を否定して暴力、破壊活動で体制を打倒しようと考えている人々です。日本の新左翼、過激派を想像すればイメージがわきやすいかもしれません。ウルトラ左翼は、文字通り極左です。フランスにおいても高齢化しつつも一定規模存在します。ブラックブロックは、フランス国内だけにいるわけではありません。国際的といっても強固な組織があるのではなく、小さな集団や個人が大規模デモ、サミットのような重要な国際会議に合わせて集まってくる。身元が簡単に割れないよう、皆同じような黒い服や帽子を着用し、黒ずくめの姿からこう呼ばれます。
ウルトラ左翼・ブラックブロックの目的は、多くの人が集まる大規模なデモの機会を利用して社会に混乱状況を起こすことです。デモ本来の人々にとっては、許しがたい存在であり、デモからは当然排除します。それでも紛れ込んでしまう。
ウルトラ左翼・ブラックブロックは、公共施設や路上のゴミ箱、自動車などへの放火、警官への投石など、デモの進行とは全く関係ない動きをする。反資本主義の立場から銀行やマクドナルドは破壊対象ではありますが、壊すだけで略奪はしない。デモに便乗して、体制を揺るがせ、体制を打倒するのが目的なので、商品の略奪は関係ないのです。リモージュの歴史ある市庁舎が放火され焼け落ちたのも、デモとは全く関係ない破壊活動です。
そして最後に「略奪だけが目的の人々」です。デモに全く関心はないし、体制を揺るがすことも考えていない。ウルトラ左翼・ブラックブロックが放火や破壊を行っている様子をテレビやSNSで見て、これなら店から略奪できると思っただけです。彼らは「買い物をしに行こう」と言い集まって来ましたが、略奪を遊びのように面白がっていたのです。特定の店や場所が狙われて襲われたわけではありません。彼らが集まりやすい場所の被害が特に大きかった。
教育環境の改善、物価高対策といった、デモの目的とは全く関係のない、略奪のための略奪だったのです。
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後編ではフランス在住のジャーナリスト、広岡裕児氏が現地でのデモと暴動は全く「別物」であることや、略奪は誰が行っていたのかなどについて実態を引き続き解説する。
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