中国の台頭、コアウィーブ・ショック…「AIバブルは崩壊したのか」専門家の“株価回復”のカギを分析
上半期の東京株式市場は、人工知能(AI)への期待からAI・半導体関連株に買いが殺到。日経平均株価は連日、高値を更新していた。だが現在は、株価は最高値から10%以上も下落中だ。はたして、AIバブルは崩壊したのか。専門家たちに話を聞いた。
6月につけた最高値から大きく下落
日経平均株価は6月22日の7万2831円をピークに下降し、10月27日現在の終値で6万3268円と最高値から約13%下落している。いったい、株式市場に何が起こっているのか。
「日経平均の構成銘柄はAI・半導体関連が4割程度を占めており、今や『半導体指数』だとも言われています」
とは、元日本証券新聞社社長でマーケットアドバイザーの天野秀夫氏だ。
「その筆頭がChatGPTを開発した米・オープンAIや半導体設計大手の英・アームに巨額投資をするソフトバンクグループ(SBG)です。ほかにもAIデータセンター向けNAND型フラッシュメモリの専業大手のキオクシアホールディングス、半導体製造装置大手の東京エレクトロン、AI半導体用検査装置大手のアドバンテストなど AI・半導体銘柄が日経平均の上昇を支えてきました」(同)
特にSBGとキオクシアは6月にそれぞれ、時価総額で48兆円と44兆円に到達。トヨタの時価総額を上回り話題を呼んだ。
「SBGの株価は6月2日に年初来最高値の9074円、キオクシアも6月22日に上場来最高値の11万2700円をつけています。しかし、両銘柄とも直近では株価が5割以上、落ち込んでいる。日経平均が下振れするのは当然です」(同)
AIバブルは崩壊寸前
こうした株価の急落を受けて、「AIバブルは崩壊寸前」との声が聞こえ始めている。
慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授の小幡績氏はその見方に与する一人だ。
「米国のAI・半導体関連銘柄が総崩れで、AIバブルは崩壊寸前という様相を呈しています。日本の半導体関連もこれに連動しています。AI技術は本物、ブームは実需をもたらしていますが、オープンAIにしてもアンソロピックにしても明らかに過剰 投資で、今が異常なブームなので反動は必ず来ます。株価は壮絶なバブルで、まもなく弾けますし、株価が暴落すれば実体にも波及して不況が来ることは必至です」
『AIバブルの不都合な真実』などの著書がある慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任准教授の黒坂達也氏もこう言う。
「投資家たちがバブル的な熱狂から徐々に冷め始めているのでしょう。これまでは、各AI企業は“他社と競争している”のだと異常な投資を正当化してきました。ところが今は、投資家たちも“その投資にはきちんと見返りがあるのか”と疑いを持ち始めているのです」
一方、智剣・OscarグループCEO兼主席ストラテジストの大川智宏氏は以下のような見方を示す。
「この間、米国のグーグル、マイクロソフト、アマゾン、メタなどのメガテックは、データセンタービジネスを強化してきました。“AI開発のために必要なデータセンター(DC)をAI企業に貸し出せば儲かる”と考えたからです。しかしDCの建設には大量のメモリと半導体が必要でそれらの需給が逼迫。結果、キオクシアなどの半導体メモリ企業の業績が急拡大し、株価も急伸したわけです」
中国勢の台頭と「コアウィーブ・ショック」
しかし、こうした流れに夏ごろから水を差す動きが出てきたという。
「中国勢の台頭です。特にCXMTという中国最大のDRAMメーカーは2年後を目途にメモリの大幅な増産計画を打ち出しています。これまでは、メモリが足りないから価格が高止まりしていた。供給が増えれば、その分価格は下がります。キオクシアなどの半導体メモリ企業は将来的なメモリの値下がりが織り込まれて、その株価が下がってしまったと言えます」(同)
加えてこんな話も。
「10月中旬から市場で話題になっているのが『コアウィーブ・ショック』です。コア・ウィーブ(CRWV)とはグーグルなどと同じようにDCビジネスを営んでいる米国の企業です。その会社がDCを大量に建造しようとして、ものすごい規模の借金を抱えており、“本当に利払いは大丈夫なのか”“投資資金は回収できるのか”という信用不安の問題が持ち上がったのです」(同)
現時点で明らかになっているCRWVの有利子負債は、6月末時点で約356億ドル(約5兆6000億円)という途方もない金額である。
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新潮QUEで配信中の記事【株価は最高値から10%以上も下落中で気になる「AI株」は砂上の楼閣なのか】では、AI・半導体関連企業の社債がジャンク債化することの懸念や、米国の中間選挙がAI・半導体関連株に与える影響のほか、今後の株価回復のカギについて詳報している。


