「朝刊の報道は何だ」 国会議員が官僚に迫る理由、SNS時代に激化する永田町の「早耳競争」

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「朝刊の報道は何だ」「今朝のNHKニュースの件、聞いてないが」――。政府の法改正方針などが報じられると、関係省庁には国会議員から問い合わせが相次ぐ。政治家にとって、いち早く情報をつかむことは、自らの影響力を示す重要な手段だからだ。SNSの普及によって、さらに激化する永田町の「早耳競争」に迫る。

(2026年10月9日に「新潮QUE」で配信した記事をもとに再構成しました)

インフルエンサー化する議員たち

「政府は次期国会に改正法案を提出予定です」

 新たな法改正やルール作りの見通しは朝のニュースの特ダネとしてしばしば報道されるが、その法改正にかかわる省庁の担当部署は、身構えることになる。ニュースを追いかけるように、国会議員の事務所や時には議員本人から「今朝のNHKニュースの件、聞いてないが」「朝刊の報道は何だ」などと連絡が入るからだ。

 政治活動の評価は、その議員の持つ情報のスピードと価値によることも多く、政治家たちは「早耳」を競い合う。SNSの普及以降、そのスピード競争は激化し、インフルエンサーと化した国会議員が、写真や動画を駆使してコンテンツ作りやフォロワー獲得に励んでいる。永田町ではその“ご活躍ぶり”を撮影すべく、スマホ片手に議員に同行させられる秘書の姿が増えた。

「私は政権の中枢に近い」という自己アピール

 なぜ政治家は「事前の」情報を競うのか。新しい情報をいち早く発信することは、「私は政権の中枢に近い」「重要な政策決定に深くかかわっている」という自己アピールになるからだ。

 議員が欲しがる事前の情報収集については、自民党政務調査会(以下政調会)が長年党内ルールとして培ってきた「事前審査制」の存在なくして語れない。事前審査制は、政治学や行政学を専攻する学生の教科書に必ず記載のある政治の仕組みだが、その内情は知られていない。会議は原則として非公開。国会のように議事録の公的な作成・公開もないため、合意形成がどのように成されたのか。誰がどのような利害関係から法案や政策に反対し、あるいは修正を迫ったのか。その詳細なプロセスは闇の中だ。特定の業界や省庁と深いつながりのある「族議員」はこの密室の仕組みを利用することで存在感を発揮する。

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「新潮QUE」にて公開中の関連記事【「それ、聞いてないんだけど」かくして族議員はつくられる――自民党「政務調査会」という密室】では、自民党の政調会の役割や「政」の優位性を示す通過儀礼でもある事前審査制の仕組みなどについてより詳しく報じている。

桐山煌(きりやま・こう)
1974年生まれ。作家・政治アナリスト。永田町、霞ヶ関を中心に豊富な勤務経験を持つ。

デイリー新潮編集部