「買った後も最安値をチェックして落ちこむ」…定年前の58歳夫の“こじらせ節約”に妻が悲鳴【FPが助言】

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 転職や役職定年、定年後の再雇用などによる収入ダウンを機に、節約に目覚める人は少なくない。あらゆるモノの価格上昇が続く今はなおさらのこと。だが、そのこだわりが度を越すと家庭内がギスギスすることもある。家電1台を買うために何十時間も比較サイトに張り付き、買った後も値下がり情報を探して悔しがる……そんな「こじらせ節約」に陥る心理とは。ファイナンシャル・プランナー(FP)の山口京子さんがひも解く。

【Case】洗濯機1台に1か月かけて徹底リサーチ、購入後も「3000円損した」と悔しがる

 都内に暮らすパート主婦の真紀さん(58歳、仮名、以下同)は、会社員の夫、孝明さんの極端な節約行動に頭を抱えている。孝明さんは同い年の58歳。2年後に定年を迎え、その後は再雇用で収入が大きく下がる見込みだ。社内セミナーでその見通しを聞いて以来、無頓着だった金遣いが一変、すっかり「節約マニア」になってしまったという。

 孝明さんの節約へのこだわりが発揮されたのが、長年使ったドラム式洗濯機の買い替え時だった。乾燥機能の不調に、真紀さんが「不便だから早く買おう」と促しても、孝明さんは「適当に買うと損する」と商品情報を徹底リサーチ。スペック差を表計算ソフトでまとめ、価格比較サイトやオンラインストアの購入者レビューを読み漁り、週末は量販店で値引き交渉にいそしむ。そうやって購入までに1か月近くかかってしまった。

 孝明さんの価格リサーチは洗濯機購入後も終わらなかった。商品が届いた1週間後、孝明さんは暗い顔でスマホを見つめていた。「別の店で3000円安く売られていた。悔しい」と本気で落ち込んでいたのだ。

「せっかく新しい洗濯機が手に入ったのに、買う前も買った後も、価格のことばかり考えてイライラしている。大体、使うのは私なのに。こちらまでイライラします」と真紀さん。近頃は日々の買い物でも「冷凍食品を買うなら木曜のほうが安かったんじゃないか」などと細かく口を出すようになり、困惑している。

【FPが助言1】買う前も買った後も救われない「損したくない」心理

「何を買うにしても検索しすぎて買えない、やっと買えたとしても価格情報を追い続けて後悔する……。それが日々の心理や家族関係にまで悪影響を及ぼしている人は、けっこういらっしゃいます」と山口さん。

「損をしたくない」心理から、購入前に徹底的に商品情報を検索・比較するのは、まだ合理的な行動といえる。ところが、その心理が行き過ぎて、買った後まで検索を続けてしまうようでは、購入前も購入後も心が休まらない。

「節約意識を持つこと自体は、収入減に備える上で大切です。問題は方法とバランス。家電も食品も日用品も、需要や在庫によって価格が日々変動するのが当たり前です。昨日の価格と今日の価格を比べていちいち『損した』『得した』と一喜一憂するのは、自分からストレスを買いに行くようなものです。とくに購入後は、いくら悔やんでもお金が返ってくるわけではありませんから、落ち込むだけ時間の無駄です」

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