「買った後も最安値をチェックして落ちこむ」…定年前の58歳夫の“こじらせ節約”に妻が悲鳴【FPが助言】
【FPが助言2】節約マニアが見落としがちな「時間単価」と「機会損失」
最大の問題は、本人が「賢く家計を防衛している」と信じ、時間というコストに無自覚な点だ。最低賃金が各都道府県で1000円を超えた今、節約に割いていた時間と手間を、労働に向けるか、仕事に関連する勉強に使うほうが、収入アップにつながる可能性は高い。仮に時給1000円なら10時間働けば1万円が手に入る。
「3000円安く買うために10時間をリサーチに費やすと、差し引き7000円のマイナスになる、と計算することもできるわけです。日々の節約についても、30円安い大根を求めて自転車でスーパーをハシゴするような節約はほどほどに。時間に余裕のある方が運動を兼ねてやるならいいのですが、現役世代にとっては時間当たりの収支ではマイナスになりがちです」
山口さんは、迷っている期間中の、「使えなかった」ことによる損失についても指摘する。
「新しい道具を1か月早く買えば、そのぶん毎日の手間と時間が浮き、夫婦で会話を楽しめるはず。新しい道具は、早く使いこなして生活の快適さや仕事の生産性を高めてこそ価値があるのです。最安値を待つあまり、日々の快適さや時間を犠牲にしては本末転倒です。例えば株も、底値で買って天井で売るのは、プロの投資家でも極めて難しいものです。買い物も同じです。底値を追わず、『昨日買ったおかげで今日から快適に使える』と割り切りましょう」
【FPが助言3】家計の収支を洗い出し「出せる金額」を決める
「節約行動の根本に老後の不安があるなら、収入や退職金、年金の見込み、毎月の支出を紙に書き出して夫婦で共有しておきましょう。使っていい金額がわかれば、過度な節約衝動がおさえられる可能性があります。大型の買い物をする際も、夫婦で『いくらまでなら迷わず買うか』を話し合っておくといいですね。どうにも収入が足りないという場合は、節約よりも収入を増やす方向にリサーチ力を発揮することをおすすめします」
どうしても節約衝動が止まらない場合は、その情熱を生かす手もあるという。
「それだけのこだわりをブログやSNSで昇華するのはどうでしょう。『徹底比較して買った商品と、その後の後悔記録』といった内容で発信するのです。家庭内で『今日買えば3000円安く買えたのに』と暗く落ち込むよりは、迷える消費者の役に立てて、気分がすっきりするかもしれませんよ」
物価上昇が続くいま、目先の数字にとらわれた節約だけでは家計は守りきれない。時間の価値を見極めることが、定年後の暮らしを守る第一歩となる。
※プライバシー保護のため、記事で紹介する事例は、具体的な状況の一部を変更しています。
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