「顧客データ流出」でユーザーに訪れる「最悪のシナリオ」 各社の発表のタイミングがズレる理由は?
「“犯人”は、AIによる攻撃の自動化や効率化のサイクルを回すことに成功している」
一体、サイバー空間で何が起きているのか。一般社団法人「日本ハッカー協会」の杉浦隆幸代表理事は、
「今回の一連の不正アクセスの中には、従来の『ランサムウェア(盗んだ情報を“人質”に身代金を要求する)攻撃』ではないケースも見られます。単に情報を盗むだけの攻撃で、誰が何の目的で行っているのか分からない。実に不気味です」
そう前置きしながら、
「サイバー攻撃には、もっぱらAIが使われているとみられますが、ここ数カ月間で攻撃までの『準備期間』が短くなっている印象です。ネットへの侵入が広く同時に行われており、対象となるシステムに脆弱性が見つかれば、すかさず入り込む。“犯人”は、AIによる攻撃の自動化や効率化のサイクルを回すことに成功しているといえます」
AIの進歩・成長の「弊害」が、こうしたところにも影を落としているというわけだ。
なぜ防御できないのか
サイバーセキュリティー対策を手掛ける「レオンテクノロジー」の守井浩司代表によれば、
「攻撃による被害が繰り返される背景には、防御する側との構造的な違いがあります。AI対AIの攻防になった時、攻撃側はシステムのどこか一つでも弱点を見つければ攻撃できますが、防御側はあらゆる弱点を見つけて対処しなければなりません。この『非対称性』があるため、完璧な防御を行うのは難しいのです」
とのことで、
「抜き取られた情報が、これまで出回っていない新しい個人情報であれば、ネット上の『闇サイト』などのブラックマーケットで売買される可能性があります。一方、『この企業にダメージを与えたい』など特定の目的の下に盗み出された情報は必ずしも売買されず、攻撃者の目的のために悪用される場合もあります」(同)
サイバーセキュリティーに詳しい神戸大学の森井昌克名誉教授が言う。
「AIが一般の人にも使いやすくなったのに加え、現在はウェブ上に『攻撃』の方法に関する情報が載っています。外国語であってもAIに聞けば翻訳してもらえる。オープンAIのものをはじめ、ここ数カ月でAIは軒並みバージョンアップしており、サイバー攻撃実行のハードルが下がっているのです」
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