「犬を飼いなさい、ドロボウよけには一番です」 闇バイト強盗団とは対照的な「説教強盗」とは? 昭和の帝都を震撼させた“世にも奇妙な犯行”

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 令和の今は、トクリュウによる遠隔操作による「タタキ(強盗)」が世間を震撼させているが、97年前の東京で話題になっていたのは、その名も「説教強盗」。強盗に押し入った家で金品を奪うだけでなく、「犬を飼え」「電灯をつけろ」と防犯を講釈して朝まで居座る……帝都を震撼させた男の手口とはどのようなものだったのか。(前後編の前編)

「犬を飼いなさい」

 夜中に人の気配で目が覚めた――隣の妻は静かに寝ている。気のせいかと思うと、頭の上から低い男の声が。

「夜中、お眠いところにすみません。のっぴきならない事情で金が必要になりまして」

「だ、誰だ?」

 黒ずくめの服を着た男が、枕元であぐらをかいている。びっくりして起きようとすると、

「強盗です。まあまあ、静かにしてください。おっと、だんなは動いてはいけません。奥さんがケガをしちゃいけませんから」

「何しにきた」と問う主人に、男は冷静に答える。

「お金ですよ。生活のために金を借りて歩くんです。悪く思わないでください」

 この状況を一刻も早く追い返すべく、家人が金を渡しても、なぜか男はすぐに退散しない。

「旦那、タバコをください」

「私は吸わない。客用が応接間にある」

 夫婦を縛り上げ、応接間から持ってきた客用の高級タバコを暗い寝室でふかしながら、男は続ける。

「犬を飼いなさい。ドロボウよけには一番です。犬といっても、いい犬はあまり役に立ちません。人に馴染みやすいんでね。そこへいくと駄犬はやたら吠えます。犬を飼うなら雑種の安い犬がおススメです。こいつは夜中でも目を覚ましてよく吼える。あと、門に灯りをつけるといいですよ。明るいとドロボウは入り難いんでね」

 そのまま男は居座り、話を続ける。夜が明けてくると、男はようやく立ち上がり、

「あっしが失礼しましたら、すぐに警察にお届けなさい。お断りしておきますが、電線や電話は切ってあります。ここからは二丁目の交番が一番近いでしょう。では、ご免なすって」

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