妻が家に連れてきた21歳女性に「寝たって言う」と脅されて…深夜の呼び出し、秘密を重ねる58歳夫の壊れかけた家庭

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由希に振り回されるのがうれしい

 最初に正直に言えばよかったのに、由希さんと秘密を共有する楽しさに目がくらんだ。それを何度も繰り返すうちに、嘘を重ねなければならない状態に追い込まれていったのだ。

「結局、遊んでばかりいて高校入学はなおざりになっている。高校、どうするんだと聞いたら『お金ないもん』って。それなのに数日後には高級ブランドのバッグをもっている。誰かに買ってもらったんでしょう。私は、ほしいとは言ってない、あっちが勝手に買ったんだと言い張る。他人だし、もう成人しているのだから放っておいてもいいはずなのに、僕の気持ちは由希を守らなければと思っている。でも実際には、由希に振り回されるのがうれしかったりもする。自分が信じられなくて……。いっそ由希に恋していると思えればいいんだけど、それは違うような気もする」

 結局、彼は今もエリカさんを求めているのではないだろうか。彼女の面影を由希さんに投影しているのではないか。いっそエリカさんを探したほうがいいかもしれない。そう言うと、彼はしばらく考え込んでいた。

「このままいくと、いつか僕ら夫婦は壊れてしまう。かといって今さら、由希に振り回されている事実を話すこともできない。妻はほぼフルタイムで働くようになっていて、『このごろ由希ちゃんがバイトにあまり来ないのよ。何か知らない?』と先日、聞かれました。僕は知らないと言ったんだけど、『ほんと?』と珍しく念を押してきた妻の目が、キラリと光ったような気がしました」

保護者として?男として?

 つい先日、由希さんから切羽詰まった電話がかかってきて、景太郎さんは未明に指定された場所へと車で迎えに行った。由希さんは道端にうずくまっていた。

「何を聞いても無言でしたが、男にフラれたんじゃないかと思います。その男にはずいぶん入れこんで尽くしていたみたいだったから。なんとかしてやりたいという保護者的な目と、彼女に振り回されたり頼られたりしてうれしいと感じている男としての自分と……。僕自身がどうにかなりそうです」

 これも恋のひとつなのだろうか。彼の脳裏で、エリカさんと由希さんをきちんと分けて考えることができる日が来るのだろうか。そして佐保さんに決定的に疑われないままに今の状態を抜け出すことができるのだろうか。

 ***

 なぜ景太郎さんは、由希さんにこれほど振り回されながら離れられないのか。【記事前編】では、その原点にあるエリカさんとの奇妙な関係を紹介している。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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