デフレがデフレを呼ぶ悪循環で「習近平国家主席」の顔が真っ青になる日…最大の懸念は“地方政府”が抱える巨額の「時限爆弾」

国際 中国

  • ブックマーク

 前編【バブル崩壊、就職氷河期、デフレ…日本の“失われた30年”と同じ道をたどる「中国」景気悪化の実態 「朝定食100円」「若者の失業率18・9%」の怒りは習近平国家主席に向くか】からの続き──。“失われた30年”として日本を苦しめたデフレ経済が、今の中国で猛威を振るっている。最初は“節約気分”から始まった消費の落ち込みは、なぜデフレがデフレを招くデフレスパイラルに悪化してしまったのか、なぜ習近平国家主席は今のところ有効な対策を講じていないのか、中国国内で取材を積み重ねるジャーナリストに取材を依頼した。(前後編の後編)

***

『ピークアウトする中国 「殺到する経済」と「合理的バブル」の限界』(文春新書:梶谷懐氏との共著)などの著書で知られるジャーナリストの高口康太氏は、中国を取材して「月刊文藝春秋」や「ニューズウィーク日本版」に寄稿するほか、中国を中心とした新興国のニュースサイト「KINBRICKS NOW(キンブリックス・ナウ)」を運営している。

 中国の“リアルな経済状態”に精通する高口氏は「中国政府は今年の経済成長の目標を4・5%から5%と設定しています」と言う。

「第1四半期(1~3月)は5%増と目標を達成しました。ところが第2四半期(4~6月)は4・3%増と目標に達せず、減速の懸念が取り沙汰されました。第3四半期(7~9月)は10月に発表される予定で、市場は4%台前半を予想しており、私も目標を達成できない可能性があると見ています。もし中国経済の減速が明らかになれば、当然ながら中国の未来を不安視する声は強まるでしょう。そして中国経済に疑問が投げかけられている大きな理由の一つに、不動産バブルの崩壊、不動産価格の大幅下落があるのは間違いないと思います」

 2020年、中国の不動産大手・恒大集団が債務不履行に陥る可能性が報じられたのは記憶に新しい。紆余曲折を経て、2023年9月に中国当局が恒大創業者の許家印氏の身柄を拘束した。

不動産価格は下落

 翌24年1月、香港高等法院が恒大に対して清算命令を出した。負債総額は23年時点で2兆3882億元(約56兆円)だったという。

 そして今年8月には広東省深セン市の中級人民法院が許被告に無期懲役の判決を下した。罪状は資金横領や贈収賄だった。

 恒大の場合は“一罰百戒”として見せしめ的な厳罰が下ったと見られている。だが中国では地方政府が不動産開発に積極的だったこともあり、不動産バブルの崩壊がどのような状態になっているのか情報開示は全く行われていない。完全な“ブラックボックス”に隠されているのだ。

「そのため中国の不動産市場を分析するにしても、データだけでは実情が明らかになりません。そこで現場での見聞や取材が重要になるわけですが、北京や上海といった中国有数の大都市でも、分譲物件の価格と賃貸物件の家賃は共に下落を続けているのは間違いないと思います。デフレ下の日本でも不動産価格が下落を続けたのは記憶に新しいわけですが、特に中国の地方政府は巨額の含み損を抱えている可能性があります。これは中国政府にとっての“時限爆弾”だと言えるでしょう。ところが情報が開示されていないため、爆弾の大きさや爆発のタイミングは予測・分析不能です。そして、だからこそ中国経済の先行きが疑問視されているわけです」(同・高口氏)

次ページ:日本経済を苦しめた不良債権

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。