「粗食は寿命を縮める!」「筋力低下を測る基準は…」 寿命を延ばす「歩き方」を専門家が解説
拳1個分、歩幅を大きく
歩幅が狭くなる理由としては、お尻や太もも、背筋の筋力の低下、股関節などの柔軟性の低下、姿勢の崩れやバランス能力の低下が挙げられます。すり足やちょこちょこ歩きになると、つまずきやすくなり、転倒して骨折するリスクが高まります。「歩く力」を取り戻すことが、これからの長い人生を支える一歩になります。そこで「死ぬまで歩ける体」をつくるための具体的な方法を後でお伝えしたいと思いますが、とりあえず、拳1個分、意識して10センチほど歩幅を大きく歩くだけで、体力は上がっていきます。2週間続けてみると、効果が実感できるのではないかと思います。最初にそのことを強調しておきたいと思います。
転倒リスクは家の中が高い
ところで、ピーク時の全身の筋肉量を100とした場合、70代では70まで低下します。特に減りやすいのは「歩く」「立つ」「姿勢を保つ」ための筋肉です。どこかといえば、肩まわり(肩甲骨周囲筋)、背中(脊柱起立筋)、お尻(殿筋)、太もも(大腿四頭筋)ですが、最初に変化が表れやすい場所が肩になります。
今日では日頃、バンザイをするような動作がなくなってきています。例えば洗濯物を干す時に、昔みたいな高い物干し台は少なくなったので、両手を高く上げて干すことはほとんどないですよね。だからみんな肩まわりの筋肉が弱り、肩の可動域も狭くなって、どんどん背中が猫背になります。しかも頭の重さは体重60キロの人なら約5キロもあるので、背筋が頭を支えられなくなってくるんですね。するとだんだん首が前に出るようになり、バランスの関係上、転びやすくなるから、今度はお尻を引くようになります。自分では姿勢が分からないため、背中が丸くなったねと人に言われて初めて気が付くのですね。そして、そのようなバランスの崩れた姿勢で歩いていると転倒リスクが高まるのです。
転倒で本当に怖いのは骨折してしまうことです。特に股関節の骨折で寝たきりになると、筋肉は驚くほど早く衰えていきます。1日で約2%、1週間で10~15%、1カ月たつと約半分も失われてしまうのです。骨折でなくとも、例えばインフルエンザにかかったおじいちゃん、おばあちゃんが1週間寝込むと立てなくなってしまいます。ですから、ちょっと熱があっても、ある程度立ったり座ったりはしないといけません。
ちなみに転倒のリスクが高いのは、家の外よりも家の中なんです。外ではみんな緊張して歩いていますが、家の中では油断があります。救急車のデータを見ますと、家の中で転倒する人が多いんですね。筋力が衰えて、どうしても足が上がらないとか踏ん張りが悪いとか。だいたいトイレ周りで転倒するケースが多い。若い時には反射的に手をついてしまっての手首の骨折が多いのですが、年を取ってくると手が出ないので股関節の骨折が多くなる。
意外に知らない方が多いと思うのが、普段、飲んでいる薬がふらつきの原因になっている事実です。医者は転倒率が低い睡眠薬を処方しますが、血圧や血糖値を下げる薬など、薬の飲み合わせでふらつくことがある。ちゃんとお薬手帳に飲んでいる薬は書いておいて、薬局で教えてくれるので、飲み合わせの情報はしっかりチェックしておく必要があります。
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