「ワインを晩酌に発酵食品を」 87歳でフィットネスインストラクターになった女性の健康習慣とは 「65歳まで運動経験ゼロ」
アプローチするのは3カ所
さて、ここからは、「タキミカ体操」をいくつかご紹介します。全く運動したことがなかった彼女自身の経験を基に、9歳のお子さんから90代のシニアまで、誰でも無理なく続けられるようにと考案したストレッチ体操です。
この体操でアプローチするのは、わずか3カ所。肩甲骨、背骨、股関節です。この三つはいずれも姿勢や体幹に直結し、体調を左右する重要な運動器。ですから、可動域が狭くなると、姿勢が崩れたり、転倒しやすくなったりします。シニアにとって転倒はもっとも避けたい事態。小さな骨折がきっかけで活動量が低下し、寝たきり生活へとつながっていくケースが多いのは、皆さんご存じのとおりです。
逆に、この3カ所さえしなやかに動けば、全身の柔軟性はぐんと高まり、転倒リスクも減らせます。肩甲骨、背骨、股関節の3カ所は、わずかな動きで健康寿命を延ばす最大効果を生んでくれるわけです。
(1)ぞうきんしぼり体操
肩甲骨をほぐす
[やり方] 両腕を左右にまっすぐ伸ばした状態で、腕全体をひねる。このとき左右同じ向きにひねるのではなく、“ぞうきんをギュッとしぼる”ように互い違いになるように行うのがポイント。左右でひねる向きを入れ替えながら、リズムよくギュッギュッと行う。ひねるたびに片方の肩が前へグッと出ていればOK。左右交互に10セット。
[解説] 肩甲骨が動けば動くほど、肩が前に出ます。座ったままでもできるので、入院中や要介護の方もチャレンジしてみましょう。肩甲骨は動かさないと乾いた紙粘土のように硬くなりますが、動かしてあげれば関節も周囲の筋肉もどんどん可動域が広がり、油粘土のように柔らかくなっていきます。
(2)犬猫体操
背骨をしならせる
[やり方] 四つ這いの姿勢になり、息を吐きながら背中を“猫”のように丸める。このとき、おへそを見るようにあごは引く。続いて、あごを天井に向けるようにして、息を吐きながら背中を“犬”のように反らせる。猫と犬を交互に、合計10セット行う。
[解説] ガチガチに固まった背骨の柔軟性を上げるストレッチ体操です。背骨の動きが良くなると姿勢も良くなり、肩凝り、腰痛などの軽減が期待できます。背骨をしならせたいので、床を「グッと押す」意識でひじはまっすぐに伸ばしましょう。腰に持病のある方は無理をしないこと。
父に足りなかったのは“ワクワク”
(3)四股ひねり体操
股関節をダイナミックに開く
[やり方] 足を肩幅より少し広めに開いて立つ。つま先は少し外側に向けて、相撲の「四股」の姿勢になるよう腰を落とす。両手でひざを押さえながら、片方の肩を斜め前へグッとひねり出して気持ちよくストレッチ。5秒キープ。このとき顔を一緒に回してもOK。同じ要領でもう一方の肩もひねる。左右で合計10セット。
[解説] お尻を後ろへしっかり突き出しながら行い、股関節まわりを大きくほぐしましょう。肩をひねる際は、腕ではなく「肩甲骨」を回す感覚で。肩甲骨や背骨も同時にほぐれる一石三鳥の体操です。腰やひざに持病のある方は、浅い四股で無理をせずに。
(4)ひざバイバイ体操
股関節をやさしく広げる
[やり方] 両ひざを立て、肩幅より少し広めに足を開いて座る。両手は斜め後ろについて上体を軽く支える。その姿勢から両ひざをゆっくり右へ倒す。次はゆっくり左へ倒す。両ひざで「バイバーイ」をするイメージ。左右往復で10セット行う。
[解説] 股関節の可動域を上げる体操です。効果を最大化するポイントは、かかとの位置を動かさず、お尻を決して浮かさないこと。そうすることで、固まった股関節がほぐれていきます。ひざは無理して床に着けなくても問題なし。動かしたいのは“足”ではなく“股関節”だと意識しましょう。
年を重ねれば筋肉は衰え、関節は硬くなる。従来はそれが常識と思われていました。
けれど、その常識を塗り替えてきたタキミカさんという存在を間近で見てきて、私もたくさんの勇気をもらいました。父親を“不活動”による心不全でみとってからは、どうして救えなかったのかと長く自分を責めてきました。けれどタキミカさんとご一緒させていただくうちに、ようやく気付いたのです。“心が動くから、体は動きたくなる”のだと。父に足りなかったのは、最新の運動器具などではなく“ワクワク”だったのだと。
「年齢はただの数字」。この言葉こそワクワクの源になり得ます。年齢や体力を理由に、やりたいことをあきらめる必要はありません。今日この瞬間から、体も心も磨いていくことは可能なのですから。



