福岡県議会のドン「蔵内前議長」の唐突な議員辞職に“党本部の介入”はあったか…ベテラン政治記者は「沖縄県知事選を前に“判断”が下された可能性も」
自称「日本で一番悪い男」と豪語したのは「福岡県議会のドン」と呼ばれた蔵内勇夫前議長だった。議長在任中は記者団にふてぶてしい余裕の笑みを浮かべて発言し、口が滑ることもしばしば。ところが、議長・副議長ポストを巡る金銭授受疑惑で批判が強まるや、議長職の辞意を表明(8月17日)。「議員は辞任しない」と一時はしがみついたが、結局、議員辞職(8月25日)に追い込まれた。さすがにその時の顔つきは神妙だった。だが、これで終わったわけではない。さまざまな疑惑の真相解明はこれからだ。【村田純一/時事通信社解説委員】(一部敬称略・前後編の前編)
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【現物入手】「批判は見当違い」「扇動されたマスコミと世論が…」 福岡県議会“カツアゲ”疑惑 議員辞職が報じられた蔵内議長が支援者に送っていた「説明文」の呆れた中身
疑惑を調査する「第三者委員会」でどこまで真相を解明できるか。警察や検察のように強制捜査ができない第三者委の調査には限界がある。捜査当局の捜査に期待する声はあるが、立件にまで至るか。今後の動きを探った。
今、福岡県と福岡県議会の「政治とカネ」の問題が全国的な批判を浴び、高市政権をも揺るがせている。議長ポストをカネで買うという「慣習」は果たしてあったのか、なかったのか。事実ならば、忘れかけた自民党派閥の裏金事件をも思い出させるような不祥事だ。
またも自民党の「政治とカネ」の問題。有権者が自民党政治に再び不信感を強め、来年4月の統一地方選に重大な影響を与えかねない。高市早苗首相や自民党幹部らが激怒するのは無理もない。
自民党の鈴木俊一幹事長は8月28日、党本部で党福岡県連会長の松本国寛県議らに対し、早目に「自浄作用を発揮するよう」求め、「今のような事態では、(来年の県議選で)福岡県議に公認証を出せる状況ではない」とまで言い放った。
これを受け、松本は9月5日に県連会長の辞意を表明。14日に党本部で鈴木幹事長に面会し、金銭授受疑惑について県連としても調査すると報告した。疑惑がない県議は公認する方向で一致した。松本の後任は国会議員から選出することになり、古賀篤衆院議員(福岡3区)が27日の県連総務会で会長に決定する。
今回の金銭授受疑惑について「金を支払った」「受け取っていない」と対立する双方の主張は食い違ったままだ。疑惑発覚後、いまだに何ら真相は解明されていない。
金銭の受け取りを否定し、続投に意欲を示していた蔵内はなぜ早々に議長も議員も辞職してしまったのか。
辞職勧告決議案を巡る攻防
8月25日、東京都内で記者団の取材に応じた蔵内は、「本日をもって、全国都道府県議会議長会会長を辞することにした。同時に、県議会議長、そして県議会議員を辞職する」と表明した。議長職の辞任表明後、議員辞職は否定していた蔵内だったが、急に方針転換した。
まず、議長職辞意の経緯を振り返ろう。8月17日の県議会では、蔵内の議長職に対する辞職勧告決議案が提出されたが、採決中止を求める緊急動議が出され、自民議員らの賛成多数で可決した。これが県民の怒りに火をつけた。
その前の自民党県議団総会で、蔵内は既に議長職を辞職する意向を示し、辞職勧告決議案の採決見送りを提案していたとみられている。自民若手県議の中には、決議案に賛成する動きがあり、賛成討論の準備もしていたからだ。
来年4月の県議選を控え、自民若手県議の危機感も強かったのだ。採決が中止になれば、「踏み絵」を踏まされることもない。採決中止を求める緊急動議にほとんどの自民県議は賛成し、とりあえずはわが身を守る行動に出た。採決中止に賛成した議員の行動が吉と出るか、凶と出るかは、いずれ県議選での有権者の判断で示されよう。
蔵内の元秘書の県議が採決中止を求める緊急動議を提出し、採決中止を可決したシーンは、地元放送局が中継し、ネットでも閲覧できた。
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