「コンプラ社会で一番強いのは、鈍感な人間」「ルール違反を処罰するときに、ドーパミンが」 なぜ現代社会はここまで息苦しくなったのか
福沢諭吉が説いた「話し方」
こうした社会にあって大切なのは「程度」を見極めることではないか、と佐伯氏は言う。
「程度の判断は法の問題ではなく人間関係の問題です。そして、人間関係の基礎にあるのは信頼です。上司と部下、男性と女性、それぞれが立場や役割の違いを認めながら、どうやって信頼関係を築くか。それは現場ごとに考えることであって、一律に適用できるルールがあるとは思えません」(佐伯氏)
そこで鍵となるのが「言葉の使い方」だ。
「信頼関係は会話によってつくられる。言葉の使い方や態度次第で同じ内容でも受け取り方はさまざまです。ハラスメントの問題でも言葉遣いや相手との関係が重要なのは言うまでもありません。いまの人々はごく表面的な会話しかできなくなっているように感じます」(同)
そして、歴史的名著の一節をヒントとして挙げる。
「福沢諭吉が『学問のすゝめ』の最後で、人間にとっていちばん大事なのは会話の仕方であり、顔つきであると書いています。しかめ面ではなくにこやかな表情をして、きちんと会話をすることが大事だ、と。いまこそ、まさにそうした社交の能力が問われているのではないでしょうか」(同)
〈過ぎたるは猶及ばざるが如し〉。「論語」の箴言を持ち出すのは、さすがにコンプラ違反にあたるまい。
前編では、「息苦しいコンプラ社会」を象徴する、数々の事例を紹介している。
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