甲子園の主役でも「一番人気」とは限らない ドラフトで横浜・織田翔希に“1位指名”が集中しにくい理由
甲子園歴代最速の156キロをマークした横浜・織田翔希。今秋ドラフトの高校生投手では最大の注目株と言っていい。【西尾典文/野球ライター】
完成度の高い大学生に集まる傾向
準々決勝の花巻東戦では156キロを7球計測し、9回にも同じ数字を記録。大学生や社会人、独立リーグを含めても、ストレートのスピードは今年のドラフト候補でトップクラスである。
ところが、ドラフト1位で複数球団が競合するかとなると、話は別だ。
過去10年を振り返ると、高校生投手がその年の「一番人気」になった例は、2019年の佐々木朗希(大船渡)しかない。4球団が競合した。甲子園で大きな注目を集めた高校生投手でも、1位指名が集中するケースは意外なほど少ない。
複数球団が競合した高校生投手は、同年の奥川恭伸(星稜)、2021年の小園健太(市和歌山)、2025年の石垣元気(健大高崎)と人数が限られる。奥川は3球団、小園と石垣は2球団が入札した。最初の入札で高校生投手が誰も指名されなかった年は4度ある。
なぜ、高校生投手には1位指名が集中しにくいのか。
あるNPB球団のスカウトは、ドラフト会議における「現場」の力が大きく関係していると話す。
「メジャーはどの球団も編成を担当するGMの権限が強いですが、NPBではそういう球団の方が少ない。ドラフトでも現場の責任者である監督の意見が強く反映されることがあります。現場を預かる監督からすると毎年が勝負なわけですから、早くから一軍で使える即戦力の選手を希望しやすい。そうなると、どうしても大学生や社会人の完成度が高い選手が優先されますよね。フロント主導で指名する球団もありますが、まだ少ないのが現状ではないでしょうか」
今年は大学生に有力候補が多い。投手では青山学院大の鈴木泰成、近畿大の宮原廉、富士大の角田楓斗、関西大の米沢友翔、立命館大の有馬伽玖らが名前を連ねる。捕手では青山学院大の渡部海の評価が高い。
早い段階から一軍の戦力を求める球団ほど、高校生の織田より大学生へ向かいやすくなる。
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