サウジに続いてフランスでも「ドラゴンボール」テーマパーク建設と報道…そろそろ日本も「鳥山明記念館」を真剣に検討すべきでは
2024年、68歳という若さで亡くなった漫画家・鳥山明氏。『ドラゴンボール』『Dr.スランプ』をはじめ、漫画史に残る傑作を生み出した日本漫画界のレジェンドといえる。その代表作にして世界的に愛される『ドラゴンボール』を題材にしたテーマパークが、サウジアラビアに続いて、フランスのパリ郊外に建設されることが決まったと報じられた。
サウジの投資会社が中心となり、テーマパークのほかにホテルなども整備するといい、日本円で約1兆1100億円規模の巨大プロジェクトになるという。この決定を受け、日本のファンの間では『ドラゴンボール』の世界的な人気の高さを賞賛する声も上がっているものの、「なぜ日本にできないのか」「日本にあれば間違いなく観光資源になるのに」と嘆く声も多くみられる。【文=山内貴範】
【写真】ドラゴンボールのテーマパークができるかも? フランス・パリの風景
なぜ、サウジアラビアで『ドラゴンボール』が人気なのか
今や『ドラゴンボール』の人気は世界中に広がっている。人気の要因は多すぎて書き切れない。主人公の孫悟空が、強い敵やライバルを求めて冒険と戦いを繰り広げる、少年漫画の王道といえるストーリーが支持されていること。「かめはめ波」などの技の名前やポーズも明快であり、SNSや動画配信などの文化と相性がいいことなど、いくらでも挙げられる。
とはいえ、なぜ『ドラゴンボール』のテーマパークがサウジアラビアにできるのか、と不思議に思う人は多いかもしれない。実は、サウジでは日本の漫画、アニメが大人気なのだ。なかでも、『ドラゴンボール』を愛するファンは子供から大人まで多いのだという。
筆者は以前に「デイリー新潮」で、大手アニメ会社の元執行役員で文化政策に詳しいA氏を取材した。A氏によると、かつて外務省が展開していた“アニメ文化外交”が成功を収めたことが原点にあるようだ。それは、経済産業省が旗振り役となったが、累積赤字が約540億円に膨らんで大失敗に終わったクールジャパン機構の設立より前に行われていたことだ。A氏は筆者の取材にこう答えている。
「もともとサウジの若者たちはインターネットや海賊版を通して、日本の文化に触れていました。そこで、サウジの文化情報省が、日本の外務省に仲介を依頼。2008年に開催されたリヤド国際ブックフェアに日本が招待された際、ポップカルチャーに精通した研究家の櫻井孝昌さんが派遣され、当時は映画館すらなかったサウジで日本のアニメを上映したのです。現地の人々は熱狂したと報告されています」
一過性で終わらず、人気がさらに拡大
A氏によると、『ドラゴンボール』のテーマパークがサウジに設立されることが決まった“種”はこの時代に蒔かれていたといい、「2005~12年頃の政府と外務省は、文化外交に真剣に取り組んでいた」と評価する。お手本ともいえる成功例であり、クールジャパンの本来あるべき姿はこうではないかと筆者は思えるほどだ。
上映会が大成功に終わった後もサウジのアニメ人気は一過性のものにならず、過熱していく。2017年には、なんと35年ぶりに映画館が復活。今やサウジは国を挙げて中高生を対象に漫画やアニメの作り方を教えているといい、日本国内のアニメスタジオがサウジから仕事を受注するケースが生まれるまでに成長している。
日本で、アニメスタジオやアニメーターに公的な支援がほとんど届かず、たびたび問題になっているのとは対照的だ。サウジは人材育成と商業目的の投資の双方を、かなり上手く進めることができているといえよう。
さらに、フランスでの『ドラゴンボール』人気は圧倒的だ。一時期、フランスで「有名な日本人」のアンケートをすると、鳥山氏の名前を挙げる人がもっとも多かったといわれるほどである。マクロン大統領も、鳥山氏が亡くなったときに追悼文を寄せた。これらのことからも、テーマパークがオープンしたら、国内外からファンを集める施設になるのは確実であろう。
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