旧皇族の皇籍復帰は「歴史的に見てもイレギュラーではない」 そして「皇籍離脱した女性皇族が復帰した前例も……」 では「黒田清子さん」「小室眞子さん」の復帰は?

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宮内庁書陵部の業務とは

 こうした制度改正での下支えを行っているのが、宮内庁書陵部である。

 書陵部は長官官房や侍従職、式部職、管理部などと並ぶ、宮内庁の内部部局。書面や書類を意味する「書」に関する2つの課と、天皇陵などを意味する「陵」に関する1つの課で構成される。前者の一方である図書課は、皇室に伝わる古文書や書簡などの保管と修復のほか、研究を行う。もう一方の編修課は、歴代天皇の事蹟をまとめた「実録」や「紀」の編纂や、皇族の生涯についての編集、皇室制度史の資料調査を手掛ける。

 明治以降に宮内省、宮内府、宮内庁が作成した文書を所蔵する宮内庁公文書館は図書課に属する。後者の陵墓課は、天皇陵のほか、皇族の墓を管理。大学院の修士以上が条件となる研究職、一般の事務職、天皇陵の管理を現地で行い「守部(もりべ)」や「陵墓守部(しゅぶ)」と呼ばれる現業職に採用が分かれており、守部は現地採用で、東京の宮内庁本庁への異動はほぼ行われていない。

 欠員補充を中心に、書陵部で不定期に行われている研究職の採用では、日本の近世や近現代の史学、歴史地理学、考古学の専門知識を有する大学院の修士課程修了者または修了見込みを対象とするケースが多い傾向にある。前出の元書陵部勤務の男性は「自民党保守派の議員先生方が求めていた旧宮家の皇族復帰の可否についても、ずいぶん前から調査研究をしている職員がいました」と打ち明ける。

 宇多天皇の皇族復帰の際には、姉の為子内親王も、「一旦は皇籍を離脱して源為子として第二の人生を送っていた」(同)ものの、弟の即位後に皇族へ復帰して内親王となっている。歴史を紐解いてゆくと、皇室を出て嫁いだ後に内親王宣下を受けた、つまり皇族の身分に復帰したという例もある。平安時代、堀河天皇(第73代)の娘として生まれた喜子内親王は、当時は今と異なり、自動的に内親王となる制度ではなかったため、女王の立場から嫁ぎ、臣籍降下した。だが夫の死後、すでに40代となっていたので異例ではあったが「卜定(ぼくじょう)」と呼ばれる占いにより、伊勢神宮の斎宮に選出されたことから「内親王宣下」の手続きを経て、皇族に復帰している。

「斎宮は未婚の皇女、つまり内親王か女王しか就くことができないという原則がありましたが、当時は適齢期で条件に合う未婚の皇女が不足していたため、彼女に白羽の矢が立ったとみられています。異例の抜擢なだけに、女王よりも権威のある内親王にすることで、体裁を整えたということのようです」(同)

 ほかにも奈良時代の井上内親王は天智天皇(第38代)と天武天皇(同40代)の血筋を巡る政争に巻き込まれ、「天皇を呪った」という冤罪によって皇族の身分を剥奪。一般庶民の「庶人」となったが、死後に名誉が回復され、内親王として弔われたという変則的な皇族復帰の前例もある。

公務に邁進した紀宮さま

 天皇陛下の妹の黒田清子さんは「紀宮さま」と呼ばれ、2006年に36歳で結婚して皇族の身分を離れるまで長年、公務に邁進。結婚の際には式の1か月前にあった皇室経済会議の席や、式を前にした「朝見の儀」の後に行われた祝賀の席で、首相をはじめとする三権の長が「長年にわたる公務への貢献と在位中の上皇上皇后両陛下を皇族として支え続けた功績」を讃える異例の発言をしたことで当時、大きなニュースとなった。

 宮内庁のベテラン職員やOBの間には「旧宮家から養子を迎えることが認められるのならば、紀宮さまに再び皇族となって兄上をはじめ皇室を支えていただきたいものだ」といった声もある。他方で別のOBは「でもそれが可能だとなると、結婚延期を巡ってドタバタ劇があった小室眞子さんも皇族に復帰できることになるが、それが多くの国民から理解を得られるものなのかどうか、かなり不透明だろう」と懐疑的だ。

 こうした話は、宮内庁のOBや関係者の内輪話に過ぎないものだ。だが、旧民主党国会議員の元秘書は「高市政権は、改正皇室典範では養子の息子には皇位継承権があるという法解釈を示しました。その上で今後再び法改正をするかどうかを縛る、つまり禁止するものではないと一応の逃げを打ちました」とした上で「あくまで可能性は残すと言うのなら、なぜ女性天皇に踏み込む議論はしなかったのか。もっと言えば、結婚した元女性皇族の復帰を議題にしても良かったはず。やはり男系男子ありきと言わざるを得ないのです」と批判する。

 男系男子の問題は置いたとして、公務の担い手不足を補うために、愛子さまや佳子さまに皇族のまま一般男性と結婚して欲しいと無理をお願いする制度をつくる前に、夫はいてもまだ働き盛りの黒田さんに“職場復帰”してもらうことを含め、多角的な議論をもっと深めても良かったのではなかろうか。

朝霞保人(あさか・やすひと)
皇室ジャーナリスト。紙媒体やWEBでロイヤルファミリーの記事などを執筆する。

デイリー新潮編集部

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