コメ農家への支援は「5キロ3500円を死守」 専門家が「コメ価格の高値維持がむしろ農家を苦しめる」と指摘する理由
5キロ3500円では買い控え
「ところが5キロ3000円を超えてしまうと、消費者は買い控えるようになります。ただでさえ日本人はライフスタイルの変化からコメを前ほどは食べなくなりました。パンや麺類にシフトしたこともありますが、昔に比べておかずの量が増えたことも理由の一つです。さらに国産米の価格が高止りすると、高い関税を払ってカリフォルニア米などの外国産米を輸入しても採算が合ってしまいます。今の日本人はコメを食べる“場所”も変わっており、炊飯の手間を嫌がって自宅では食べない人も増えています。逆に弁当などの中食や外食では需要が伸びており、コメ農家もJAより外食産業の担当者とやり取りすることが増えています。そして外食産業は基本的にコストを最優先にしますから、国産米が高いと外国産米に変える可能性が高まってしまいます。そして実際に外国産米の需要は業務用を中心に著しく伸びているのです」(同・大泉氏)
農水省が「コメ農家を儲けさせよう」と努力すればするほど、逆にコメは売れなくなり、農家の経営は苦しくなるのではないか、というわけだ。
「農水省の政策が誤っていることを最も象徴するのは、離農者に対する態度です。コメの生産調整という視点から見れば、離農は究極の“減反”です。離農した農地がそのまま放置されれば生産量も減り、価格の高止りが期待できるというわけです」(同・大泉氏)
離農の原因は高齢化
「また離農の原因も見過ごせません。実は離農の理由で最も多いのは高齢化であり、コメの価格ではないのです。離農者は常に増え続けていますから、机上の計算ではコメ農家がゼロになる日が間もなく来てしまいます。対策として生産調整とは正反対の政策を農水省は実施すべきです。つまり『コメをたくさん生産し、価格を安くして消費者に喜んでもらう』という農政に大転換する必要があるのです」(同・大泉氏)
ここでデータも確認しておこう。農水省が発表している「農業構造動態調査」によると、2005年に個人で農業を主な仕事にしている「基幹的農業従事者」は224万人だった。
ところが農水省が6月に発表した最新の調査結果によると、「基幹的農業従事者」は98万6600人に激減してしまった。約10年間で半分以上が“消滅”したという衝撃的な数字であり、大泉氏が「いつかコメ農家がいなくなる」という指摘は大げさでも何でもないことがよく分かる。
どうすれば日本のコメ生産は持続可能なものに生まれ変わるのか。適正な生産コストは60キロ3万円、適正な概算金は60キロ2万4000円──この金額は、いずれも高すぎると大泉氏は指摘する。
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