令和の「甲子園最強校」はどこだ 最多勝は大阪桐蔭ではなかった…数字から見えた意外な“勢力図”

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 高校野球の「最強校」と聞けば、今でも大阪桐蔭を思い浮かべる人は多いだろう。2010年代には二度の春夏連覇を達成し、長く高校野球界の中心に君臨してきた。【西尾典文/野球ライター】

首位は東北の強豪校

 智弁和歌山(和歌山)の5年ぶり4度目の優勝で今年の夏の甲子園が幕を閉じたのを機に、改めて令和の甲子園成績を集計してみた。すると、2019年夏以降の春夏を通じて最も多く勝った学校は大阪桐蔭ではなかった。

 では、令和の甲子園では、どの学校がどんな形で実績を積み上げてきたのか。単純な勝利数に加え、春と夏の違い、出場時の勝ち上がり方、甲子園への出場回数まで比べてみたい。なお、2020年夏の甲子園交流試合は集計から除外した。

◇令和の甲子園勝利数上位チーム(12勝以上)

22勝(春4勝・夏18勝):仙台育英(宮城) 夏優勝1回
20勝(春15勝・夏5勝):大阪桐蔭(大阪) 春優勝2回
16勝(春4勝・夏12勝):智弁和歌山(和歌山) 夏優勝2回
16勝(春6勝・夏10勝):智弁学園(奈良)
15勝(春9勝・夏6勝):健大高崎(群馬) 春優勝1回
14勝(春10勝・夏4勝):山梨学院(山梨) 春優勝1回
14勝(春5勝・夏9勝):横浜(神奈川) 春優勝1回
12勝(春4勝・夏8勝):近江(滋賀)
12勝(春3勝・夏9勝):沖縄尚学(沖縄) 夏優勝1回
12勝(春1勝・夏11勝):京都国際(京都) 夏優勝1回
12勝(春2勝・夏10勝):神村学園(鹿児島)

 首位は仙台育英だった。東北を代表する強豪でありながら、春は2001年、夏は1989年と2015年に準優勝。長く全国制覇には届かなかった。

 流れを変えたのが2018年1月に就任した須江航監督だ。中学野球の指導で実績を残した須江監督の下、2022年夏には東北勢初の全国制覇を達成。翌2023年夏も準優勝し、今年は下級生中心の布陣で3勝を挙げてベスト8へ進んだ。

 一人のエースへ負担を集中させない継投、機動力を絡めた攻撃など、戦い方にも一貫性がある。令和最多の22勝は、2022年の優勝だけでなく、複数の大会で上位進出を重ねた積み重ねでもある。

特徴的な春夏の差

 2位は大阪桐蔭。2010年代に二度の春夏連覇を達成するなど、長く高校野球界の頂点に君臨してきた。近年は敗戦が大きく取り上げられる機会も増えたが、2022年、2026年と令和に入ってから選抜を二度制している。

 特徴的なのは春と夏の差だ。20勝のうち15勝が春で、夏は5勝。夏の最高成績は2022年のベスト8にとどまる。昨年、今年は大阪大会で敗れ、甲子園出場を逃した。かつて春夏を問わず圧倒した大阪桐蔭だが、令和では春の成績が突出している。

 対照的なのが仙台育英で、22勝中18勝を夏に挙げた。智弁和歌山は16勝中12勝、京都国際は12勝中11勝、神村学園は12勝中10勝が夏だ。山梨学院は逆に14勝中10勝を春に記録した。

 同じ甲子園常連校でも、勝ち星を積み上げる時期には大きな差がある。春に完成度の高さを発揮する学校もあれば、夏に勝ち上がる学校もある。通算勝利数だけでは見えにくい特徴が、春夏の内訳には表れている。

 16勝で並ぶのが智弁和歌山と智弁学園だ。

 智弁和歌山は長年指揮を執った高嶋仁監督が2018年8月に退任し、中谷仁監督が就任。2021年夏には24年ぶりの全国制覇を成し遂げた。その後は甲子園で初戦敗退が3度続いたものの、2025年春に準優勝。今年夏には再び頂点へ立った。

 伝統的に選手を大量に集めず、少数精鋭で鍛え上げる方針を続けてきた。今夏のチームは昨秋の和歌山大会でベスト8。それから約10カ月で全国制覇まで到達した。短期間でチーム力を高める育成力も、16勝につながっている。

 智弁学園は優勝こそないが、2021年夏と2026年春に準優勝。全国上位へ進むチームを継続して送り出してきた。OBでは岡本和真(ブルージェイズ)、村上頌樹(阪神)らがプロで活躍。今年のエース・杉本真滉もドラフト上位候補に挙がるなど、選手育成でも実績を残す。

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