赤信号を見落としたのは「クルド人差別のことを考えていたから」 【埼玉・川口】クルド男性の暴走で19歳青年が事故死 公判で繰り返された「不可解すぎる弁明」

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実効性に疑問符が

 運転の意思の確認は、ハイリ被告にも行われた。被告は、「2度と運転したくない」「解体現場には電車か職人の送迎で向かう」と主張した。しかし、免許を返納するなど、具体的な方策は示されることがなかった。それどころか、こんな一幕もあった。「私たちには子供が二人いるので」と言いかけて言うのをやめたのだ。この言葉の後に続けようとしたのは、「私たちは子供を育てるために、今後も運転しなければならない」というものではないだろうか。いずれにせよ、被告の「運転をしない」という言葉の実効性には、強く疑問符が付く内容だった。

 法廷の最後、裁判長は被告に再び問うた。

「最後に見たとき信号の色は何色でしたか」

 被告は答えた。

「思い出しました。信号は青でした」

 弁明の不可解さを強く印象付けたまま、第一回公判は閉廷した。

【後編】では、第二回公判の内容について詳述する。被告が法廷で繰り返し、遺族を激怒させたさらなる「ウソ」とは――。

西牟田靖(にしむたやすし)
ノンフィクション作家。1970年大阪府生まれ。日本の国境、共同親権などのテーマを取材する。著書に『僕の見た「大日本帝国」』、『わが子に会えない』、『子どもを連れて、逃げました。』など。

デイリー新潮編集部

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