赤信号を見落としたのは「クルド人差別のことを考えていたから」 【埼玉・川口】クルド男性の暴走で19歳青年が事故死 公判で繰り返された「不可解すぎる弁明」

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「日本人に差別されている」二転三転する供述と検察官の追及

 自らの過失を認めたとは言え、事故の詳細についての被告の供述は、事実関係と矛盾し、極めて不自然に変遷していった。

 事故の際、被告は会社のプリウスを運転していて、同乗者は2人いた。事故直後、現場に駆けつけた警察官に対し、被告は「交差点が黄色だったので通過した」と供述。ところが、警官が対向車線を走っていた運転手から提供されたドライブレコーダーを見せ、被告側の信号が赤だったことを告げると、「考えごとをしていて信号を見落とした」と供述を変えていた。

 法廷内のモニターで、そのドライブレコーダーの映像が流された。そして裁判長は被告に問うた。

「もう1度事故を起こした原因を教えて」

 被告の回答は、耳を疑うものだった。

「考え事をしていた。前日に子供を怒ったことを考えていた。日本人の子供がうるさくても文句を言われないのに、私たちは歓迎されておらず、少しの音でも警察に通報される」

 赤信号を見落として死亡事故を起こした理由を、自らの不注意ではなく、日本人からの冷遇や差別による被害者意識に結びつけようとしたのだ。

「困っている内容ではない、信号を見落とした理由を聞いている。自分の進行方向の信号は何色でしたか」

 そう問われると、「黄色でした」と答えた被告。ところがその直後、「最後に見たときは青色でした」と回答は二転三転した。

 裁判長や検察官が追及すると、ハイリ被告は、不可解なことを言い放った。

「通訳が間違った訳をしていたみたいだ」

 これには検察官が激怒。

「通訳のせいにして供述を変えるのは、日本の法廷に対する侮辱だ。自分をよく見せようとして嘘八百を並べるな」

 と厳しく一喝した。

「夫を信じる」弁護側証人・妻の矛盾を孕んだ尋問

 この日の法廷には弁護側証人として被告の妻も出廷した。

 黒いワイシャツに、黒いスラックス、髪を後ろに束ねた妻の顔は、彫りが深く、夫同様、クルド人であるように見えた。彼女は法廷中央の証言台に立ち証言した。

「夫は運転が上手で注意深く運転していた。本人が車を運転したくないと言っているので運転はしないはず。私も運転させない」

 検察官は妻を問い詰めた。

「裁判では運転しないと言いつつ、裁判終了直後に運転をしてさらなる被害を引き起こした被告人を私は知っている。具体的にどう監督するのか」

 妻は、「夫を信じている」と繰り返すしかなかった。

 しかし検察官は追及の手を弛めなかった。

「具体的な対策を聞いています」と再質問すると、

「運転しないと言う夫を信じる。本人がどういう気持ちになるかは本人のみが知る」と述べるに留まった。

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