いまや世界的ブーム“シティポップのミュージシャン”は「70年代に“お前は日本では売れない”と言われた人たち」…“主役”たちが語るシティポップの真実

  • ブックマーク

多様性の音楽

 しかし、シティポップのいいところは80年代の雑多な考え、思想も巻き込んでいることだろう。

「ふたりの夏物語」など、ビーチの香りがする杉山清貴(67)&オメガトライブの杉山の場合、根っこの部分で影響を受けたのは沖縄のフォークシンガーの佐渡山豊(75)というから意外だ。「人生を変えた一曲」というテーマで語ったのは「ドゥーチュイムニィ」という曲。独り言を表す沖縄の言葉だ。

 ビートルズに出会って音楽にドップリ浸かり、中学では吉田拓郎の「結婚しようよ」をギターで弾いていた少年が73年に出会ったのが「ドゥーチュイムニィ」だった。ジョージ・ハリソンがバングラデシュの難民のためにチャリティーコンサートを開き、沖縄が日本に返還され、社会に目が向いた時代だった。

〈僕にはミュージシャンとしての良心と、ポップミュージシャンとしてのメジャー精神があります。そんな狭間で悩んでいる時にこの曲は僕を中庸にしてくれる。僕の芯にはこの曲があって、アーティストとしてブレないでいさせてくれる存在だと思っています〉

 シティポップのアーティストを支えているものはそれぞれ。大きく俯瞰してみると、それこそ多様性ということかもしれない。

峯田淳/コラムニスト
最新刊『猫のいる人生』(新潮新書)が発売中!

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。