竹内涼真、土屋太鳳、堤真一、中井貴一、波瑠…鑑賞者の心にホームラン「夏の甲子園映画」5選

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余命半年の教え子

〇「泣くな赤鬼」(2019年)

 野球部監督の小渕隆(堤真一)は、ある日病院でかつての教え子・斎藤智之(柳楽優弥)と再会する。斎藤は末期がんで余命半年だった。

 小渕は陽に焼けた赤い顔で鬼のように厳しく指導することから、赤鬼と呼ばれていた。甲子園出場を目指す強豪校の監督だったが夢は叶わず、今はありし日の情熱を失っていた。指導者が抱く野球や部員たちへの思いを描く作品だ。

 小渕は、才能ある斎藤がさらに良い選手となるために厳しく指導していた。しかし斎藤はその考えを理解できずに反発して、野球部を辞め、学校も退学してしまう。あれから10年、死期を悟った斎藤の「もう一度野球をやってみたい」という頼みを聞いて、小渕は現在監督をしている野球部員にグラウンドに集まってもらう。

 斎藤が後輩に言う言葉が心に残る。「バカな先輩だろ。死ぬ前にやり残したことが野球なんてさ。高校の時に済ましとけよって話だよな」。そして「ありがとう」と言って帽子を取り、頭を下げ、動かない身体で小渕のノックを受ける。小渕も斎藤も、やり残してきたものが何かを探して生きてきたのだ。

 ラストの辛い別れのシーンは、撮影時にスタッフが全員泣いたという。堤も公開当時に「自分が出演した映画を見て泣いたのは初めてかもしれない」と語っている。人生は負ける人の方が圧倒的に多い。その負けをどうやって自分の中で生かしていくのか、そんなことを教えてくれる作品だ。

元高校球児たちの甲子園

〇「アゲイン 28年目の甲子園」(2014年)

 ついに行けなかった甲子園。中年になった元高校球児たちが、再び憧れの場所を目指す物語。彼らが出場する「マスターズ甲子園」とは、現役時代の出場の有無に関わらず、地区予選で勝ったチームが出場できる大会だ。

 46歳の坂町晴彦(中井貴一)は、かつて夏の高校野球で地区予選決勝まで行った経験があった。ある日、マスターズ甲子園のスタッフ・戸沢美枝(波瑠)が大会出場をすすめに訪ねてきた。美枝はかつてのチームメイト・松川(太賀、現在は仲野太賀)の娘だったが、坂町は頑なに出場を断るのだ。

 離婚していた坂町は、娘・沙奈美(門脇麦)からは拒絶され仕事にも熱意がない日々を送っている。エースだった高橋直之(柳葉敏郎)はハローワーク通いで、甲子園に行けなかったことを今でも引きずっていた。大会出場を拒む坂町たちには、ある理由があった。高校時代と現代が交互に描かれ、忘れられない事件が徐々に明らかになっていく。

 やがて坂町たちは、あの夏に決着をつけるために出場を決意する。太り過ぎで走れなかったり、トンネルしたりするが皆真剣だ。甲子園はやはり特別な存在なのだ。そしてもう一つ、この大会の魅力は試合後に行われるキャッチボールだろう。自分が大切に思っている人と、グラウンドでキャッチボールをする。登場人物たちが、それぞれ誰とするのかが見どころだ。

 失ったものはたくさんある。それでももう一度あの瞬間を感じてみたい。昔失くしたものがある日突然届けられたような、そんな思いがつのるのだ。

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