とれたて野菜の“無人販売所”を閉じる農家が増えている…「何度数えてもお金が足りない」被害に加えて「税務署が動いている」という噂も
地方の道路を車で走っていると、よく目にする野菜や果物などの無人販売所。地元の農家が行っているケースが多く、とれたての新鮮な野菜が格安で手に入るために利用する人も少なくないようだ。が、そんな無人販売が今、岐路に立たされているという。
というのも、ここ数年で、お金を払わずに品物だけ持っていく人が急増し、農家も心が折れてしまい、休止に追い込まれる例が相次いでいるそうだ。
そもそも品物だけ持っていく行為は、モラルの崩壊……というよりも完全に窃盗であり、犯罪である。無人販売所は、治安が良く、平和な日本の農村を象徴する風景だったはずだが、性善説だけで運営するのは限界という声が上がっている。【取材・文=山内貴範】
【写真】モラル崩壊で消滅寸前? 新鮮な野菜から新聞まで販売 道端でたまに見かける「無人販売所」の様子
心が折れて無人販売所を閉鎖
秋田県に住む筆者の友人で、農家のAさんの家では、幹線道路沿いに面した立地を生かし、リンゴやカキなどの果物、さらにはきゅうりや大根などの野菜を販売する無人販売所を設置していた。ところが、今年に入ってそれをやめたという。Aさんは憤りながらこう話す。
「減った野菜の数と、箱の中に入っている金額が合わない。何度数えてもお金が足りないんですよ。昨年、きゅうりを5本入れた袋を200円で売っていました。ところが、10袋置いていたのに、数日後、お金を入れる箱を開けたら1200円しか入っていなかったのです。
100円、200円の差ならまだ許容できるし、利用者がお金を少なく入れてしまったのかなと思います。しかし、800円も足りないのは……どう考えても、勝手に持って行かれているとしか思えません」
Aさんによると、金額が合わないこと自体は以前からあったというが、最近はその金額がどんどん大きくなっているのだといい、「盗まれているとしか考えられない」のだそうだ。
犯人像は不明
では、どんな人が盗んでいるのか。Aさんは頭を抱えながら、こう話す。
「あいにく防犯カメラを設置していないので、犯人像についてはわかりません。インターネットではよくこの手の窃盗の話題が上ると、“外国人がやっている”と言う人がいますが、どうでしょうか。案外、地元の人かもしれませんから、不確かなことは言えません」
Aさんのもとには、長年利用してきたという人から「再開してほしい」という声が寄せられるそうだが、「人を信じられなくなってしまった」ということで、当面再開の予定はないそうだ。「野菜は親しい人に個人的に販売したり、無料で渡したりしている」とのことである。
「被害届を出そうとは思いませんが、長年続けてきただけにとてもショックです。知り合いの農家も同じ理由で、無人販売所を数年前に閉めてしまいました」
Aさんのケースは、おそらく個人が、万引きと同じ感覚で盗んでいったものと思われる。幹線道路沿いで車が頻繁に通る場所だが、箱にお金を入れているのかどうかまでは、通り過ぎる車中からは目視できない。なにぶん無人販売なので、盗もうと思えばいくらでも盗めてしまうのだ。
[1/2ページ]


