〈イオンモール爆発〉館内に戻ったのに被害を免れた生存者の証言 「食品売り場に寄ったことで助かったのかも」

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「ついでに1階東側にある食品売り場をのぞきに行こうと」

 イオンモール1階にあったアパレル店の女性従業員が言う。

「私を含めて3名のスタッフで一時は外へ避難していたのですが、17時10分くらいになると、ちらほらと館内に戻る従業員が目に付くようになった。それで出入り口に立っていたイオンのスタッフに聞くと、“貴重品など私物を取りに戻るなら入ってもよい”と言われたので、17時20分ごろに店へ戻りました」 

 気になっていたのは店に残した売上金と、電源が入ったままのパソコンだった。

「会社に電話すると“売上金は気にしなくていいから、すぐ逃げろ”と言われました。それで火災防止のためパソコンの電源を落として17時半過ぎには店を出て外へと向かった。その際、スタッフの一人が“何かガス臭くなかった?”と聞いてきましたが、私は気付きませんでした。とにかく空腹だったので、ついでに1階東側にある食品売り場をのぞきに行こうとなったんです。地震後は大混乱になって食料を調達するのが大変かもしれない。セルフレジがあれば何か買えたらいいなと思って」(同)

 これが結果的に彼女たちの命を救う行動となった。

「食品売り場の入り口でイオンのスタッフに止められ、最寄りの1階売場出口から避難するよう促されたのです。そこで言われた通りに外へ出て3分くらいたった頃でしょうか。突然、近くに雷が落ちたようなドカーンというすさまじい爆音が聞こえたんです。晴れているのになぜだろうと振り返ると、建物の南側から白い煙が上がっていた。何が起きたのか全く分かりませんでしたが、建物から離れようと必死に走りました」(同)

「普段通りのルートを通っていたら、爆発に巻き込まれていたかも」

 爆発はイオンモール2階の南側付近で起き、がれきが1階まで突き抜けるほどの威力だった。

「爆発した付近には、私たちがよく使う従業員のための通用口がありました。あのまま普段どおりのルートで南側から外へ出ようとしていたら、爆発に巻き込まれていたかもしれないと考えると恐ろしいです。あの強烈な爆発音を聞くと、とても助かっていなかったと思います。すぐ避難しないといけないのに、食欲を優先して迂回(うかい)したことで、助かったのかもしれません」(前出のアパレル店女性従業員)

 その南側の通用口付近で亡くなったのが、冒頭で触れたオンワード系列の店舗に勤務する女性だった。後編では、この女性の兄が語った、会社側の説明への違和感などについて報じる。

週刊新潮 2026年8月27日号掲載

特集「熊本地震 ようやく見えてきた『イオンモール爆発』の全貌 生死を分けた1時間23分」より

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