「トランプ氏」が北朝鮮を“優先”、NATOに“踏み絵”…中間選挙の苦戦予想と内政の行き詰まりで、より過激な行動に走る危険性
中東情勢の安定化はまだまだ先か
トランプ氏の2期目の任期は7月末で約4割が経過したが、外交・安全保障面でも不安定さを抱えたままだ。
イランと戦闘終結へ向けた「覚書」で合意した60日の交渉期間は、計算上で16日(米国東部時間)とされていた。17日時点でイラン側は、米国との交渉が始まっていない現状では期限も適用されないと主張し、期限延長の手続きを否定している。対してトランプ氏は「急いでいない」と述べ、イランは降伏すべきとの見解を示した。
トランプ氏の放言ぶりも相変わらずだ。14日、イランを打ち負かした後にホルムズ海峡を米国領と宣言する意向を述べた。この発言に慌てたのはホワイトハウスのスタッフだ。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは同日、匿名のホワイトハウスの高官が“トランプ氏の冗談”と釈明したことを報じた。
またさらにトランプ氏は、原油価格の高止まりはイランの非核化のためと説明し、「私はけっして謝るつもりはない」と正当化した。
兵器枯渇の懸念から米軍の大規模攻撃の可能性が低くなったものの、中東情勢の安定化は当分の間、見込めないだろう。
米国の保護と引き換えに“忠誠”迫る
トランプ氏がイラン戦争の批判をかわす行動に出る可能性もある。政権後半に入った米大統領が外交・安全保障分野で功績を残そうとすることは珍しくない。クリントン氏は中東和平、オバマ氏はイラン核合意に力を注いだ。
自己顕示欲が強いトランプ氏ならなおさらだ。内政面で行き詰まるほど功を焦り、より過激な行動に走る危険があるのではないだろうか。
気がかりなのは、北大西洋条約機構(NATO)加盟国との関係だ。トランプ政権はNATO脱退やデンマーク領グリーンランドの領有を主張して物議を醸したが、それ以外にも要求をしていたことが明らかになっている。
米国は6月、欧州の駐留米軍について6カ月間の見直しに着手することを発表した。ブルームバーグは14日、その発表の数週間後に送られた加盟国への質問状を確認し、米国はNATO加盟国がトランプ氏の政策にどのくらい忠実かを見極めようとしていると報じた。
受け取った加盟国側は、米国の保護と忠実さを等価交換するような試みに反発しているという。トランプ氏は「アメリカ・ファースト」の外交・安全保障政策をアピールしたいのだろうが、欧州との亀裂がさらに深まることは確実だ。
北朝鮮“優先”でアジアにリスク
アジア地域でも同様のリスクが生まれている。トランプ氏は16日、自身のSNSで、17日から実施される韓国との合同軍事演習を大幅に削減するよう国防総省に指示したことを明らかにした。
金正恩・北朝鮮総書記との再交渉に意欲をみせるトランプ氏にとって、この合同軍事演習は費用がかかるだけでなく、自身の野心の妨げになるというわけだ。
だが、ロシアとの関係強化で軍事力を高めている北朝鮮への抑止力が低下すれば、アジア地域全体の地政学リスクが高まるのは避けられない。
同盟国である米国の動向は日本の行く末を大きく左右する。引き続き高い関心を持って注視すべきだ。






