「プーチン大統領」が抱える“深刻なジレンマ” 「やめられない戦争」で支持率低下、与党は選挙惨敗危機 同盟国からも「戦争凍結」を進言され
オフレコにすることはできず…
ロシア国内で、プーチン氏に戦争の「凍結」を助言できるものはいないだろう。政権の中枢で高官らがプーチン氏の前でそんな発言をすれば、その人物は失脚しかねない。一方で、市井の市民が声高に「戦争中止」を訴えれば、投獄される恐れもある。
この時は、ロシア、カザフスタン国内だけでなく多くのメディアでその様子が中継されたため、発言内容をオフレコにすることはできなかった。
ロシアにもウクライナにも関係が深く、ソ連時代に生まれ、ロシア語を母語の一つとするトカエフ氏はこうした状況を踏まえた上で、昵懇の関係にあるプーチン氏に進言したとみられる。戦争は物価高を加速し、カザフスタンの未来にも暗雲が広がっている。それも発言の背景にあると考えられる。
「よくぞ言ってくれた」
トカエフ氏のスピーチには、さらに重要な箇所があった。主語を「私たち」として、プーチン氏をこう諭した。
「私たちは常にウクライナの人々、彼らの文化、そして言語を尊重してきた。そして、この衝突の本質が何なのか、多くの人はまったく理解できないと考えている。(理解できないのは)私たちも含まれる」
カザフスタン大統領のスピーチ全文は、ロシア大統領府の公式サイトにも掲載された。ロシア国民もロシア語で簡単に目を通すことができる。トカエフ氏の「私たち」という言葉を受け取り、「よくぞ言ってくれた」とロシア社会の一部が共感する可能性はあるだろう。
事実、戦争継続の影響がロシア社会に色濃く残るようになった中で、高い数字を保っていたプーチン氏の支持率にも低下傾向がみられ、ロシア社会では過去に社会不安が広がった時期に近い兆候も出ている。
今や、ウクライナの攻撃対象は前線だけでなくロシア国内も含まれるようになった。この4年間、甚大な損失を受けながら爪を研いできたウクライナ軍のドローン部隊が、ロシア国内の製油所や物流センターを急襲。ロシアの防空網がそれに対応しきれない実態を露呈している。
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