「いつかは“山小屋”と“こたつ”を設計したい」 東京スカイツリー(R)を手掛けた建築家「吉野繁氏」アイディアはあるけれど「まだ誰も発注してくれません(笑)」

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山小屋の環境を改善したい

――山小屋も、こたつ同様に人が集まる空間です。こたつほどの密度ではないにしても、登山シーズンには人がぎゅうぎゅうになることもあります。

吉野:山小屋は、慣れていないと厳しい環境です。山の上だからやむを得ない部分はあるとはいえ、水が十分になかったり、プライバシーが確保されていなかったり。トイレの問題も無視できません。水が足りないので、おがくずの中に用を足すこともあります。

 そして、寝るときは隣の人がすぐ横にいたりするので、なかなか初心者は安心して利用できない。少しでも改善させる手がないかなと、一生懸命考えていたんです。

――吉野さんはスカイツリーを設計する際、いろいろな山に登ったと伺いました。その時に、山小屋に泊まった経験が影響しているのでしょうか。

吉野:その通りですね。キャンプのテントなら気の合う友達と過ごせるのでいいかもしれませんが、山小屋はいろいろな人が集まる空間です。しかも、みんな登山で疲れきっているし、食事もそこまで豪華なものはありません。早朝に出発する人も多く、靴を履いたりする音で目が覚めてしまうこともあります。

 そこで、私が考えたのはドーム状の山小屋です。かつての富士山測候所のように、フレームは“フラードーム”でいいでしょう。標高が高くなると風が強まり、建築へのダメージが大きいのですが、曲面が多い形なら風力を分散させることもできます。二層構造になっていて、二階が寝室、一階にはレストランなどの食事をとるスペースがあります。

 そして、屋内の中心に螺旋状の階段を置きます。二階の寝室は階段の周りに放射線状に寝る仕組みで、荷物は枕元に置くようにするのです。放射状なので足は隣の人に近いけど、顔と顔は離すことができます。また、早朝に行動する人たちは階段にスッと向かえるので、枕元を人が歩く騒音が軽減できると思いました。

――山小屋が抱える様々な問題を一度に解決できる、秀逸な提案ですね。

吉野:あと、標高が高い場所で困るのが水の問題ですが、霧が細かいネットにつくと、飲料水に変わる装置を発明した人がいるんですよ。クラウドフィッシャーというのですが、水をためて利用できる。こういう道具を搭載すれば、山小屋でも今より水を自由に使えるようになると思います。

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