「首相として決めたのであれば反対はしない」は“麻生副総裁”の本心か? 高市首相とのパワーバランスを左右する「幹事長人事」と「消費税減税」という関門

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麻生の腹の中

 7月28日の自民党役員会で、高市は消費税減税について「私も決断する時は決断する」と強調した。

 このあと、高市は麻生、鈴木と3人で約30分会談し、来年4月から食料品の消費税を8%から1%に引き下げる方針を断行する自らの決意を伝えた。財務相経験者で減税慎重論者の麻生、鈴木に対し、高市自らが説得役となり、衆院選の公約実現の一点張りで減税を訴えたのだろう。

 麻生は「(決断前の首相の)意見であれば反対だが、首相として決めたのであれば、反対はしない」と応じたという(7月29日付読売新聞)。

 首相の決断がいかに重いかを知る、いかにも麻生らしい言葉と思えた。麻生は総裁、副総裁の立場はわきまえている。だから高市が決断した以上は、それに従う姿勢を示した。が、腹の中は煮えくり返っているのかもしれない。

 消費税減税は自民党内にも反対論が多く、財務省はもちろん減税反対。物価高対策としても効果を疑問視する声が多い。

 だが、高市は麻生の反対を押し切ったことに、むしろ自信を深めたかもしれない。公約実現を果たそうとする自らの指導力をアピールし、支持率回復に努めようとするだろう。麻生は一歩退いたものの、高市にそれなりの“見返り”を求めるのではないか。

麻生、絶頂の極み

 高市の最大の目標は来年秋の自民党総裁選での再選だ。麻生を敵に回すことは考えられない。麻生の意向に最大限、配慮するのではないか。もちろん高市にとっても譲れない一線はあるだろうが、総裁再選が決まるまでは、麻生の力を借りるのではないか。

 9月20日で86歳を迎える麻生は、今や絶頂の極みに上り詰めているとも言える。だが、政局取材で常々思い出すのは「平家物語」の冒頭部分、「祇園精舎の鐘の声…」以下の言葉だ。「盛者必衰」「驕れる人も久しからず」「猛き者もつひにはほろびぬ……」。麻生支配がいつまで続くかは分からないが、永遠に続くことはない。

 前編【麻生太郎氏は「現代の藤原道長」か…皇室典範改正のウラで消えた“べらんめえ”調の麻生節 高市首相を「よく頑張っている」と評するのは本音か建て前か】では、麻生は高市のことをどう思っているのか、実は「石破は暗かった。高市は明るい。そこがいい」と評価したことがあったという。麻生の“本音”について詳細に報じる──。

村田純一(むらた・じゅんいち)
1986年、時事通信社入社。90年から政治部。海部政権で首相番。自民党の小渕恵三幹事長、小沢一郎竹下派会長代行ら、民社党、公明党を担当後、羽田政権、村山政権で首相官邸を取材。96年経済部で経団連など財界担当。97年政治部に戻り、自民党の山崎拓政調会長番。選挙班長、防衛庁担当などを経て、2001年8月からワシントン特派員。外務省キャップ、政治部次長、福岡支社長などを経て20年7月より時事総合研究所代表取締役。23年6月より現職(時事総研研究員兼務)

デイリー新潮編集部

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