なぜ武蔵村山市にニューヨーク大学を誘致? 専門家は「地域振興のための大学誘致は結構な割合で失敗」と警鐘

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 ざっと名前を挙げるとウディ・アレンにレディー・ガガ、ウーピー・ゴールドバーグなど、きら星のごとしである。米ニューヨーク、マンハッタンにあるニューヨーク大学(NY大学)の卒業生だ。7月14日、アメリカを訪れていた小池百合子東京都知事は、NY大学と合意書を締結した。これによって、東京にNY大学の分校が置かれ、先方からの学生派遣(短期留学プログラム)や、将来的には日本でも学生募集が行われることになるという。

 大学ジャーナリストの石渡嶺司氏が解説する。

「NY大学はハーバードやマサチューセッツ工科大学ほどではないですが、名門大学であることは間違いありません。法律、映画、ジャーナリズムといった分野に強く、才人たちが輩出している。日本でいえば早稲田や慶應、明治あたりのイメージです。私立大学なので、ビジネスとして海外進出にいち早く取り組んでおり、UAEのアブダビ校や上海校があります」

なぜ武蔵村山市に?

 小池都知事も“カイロ大卒”とのことで、海外大学の誘致には理解があるのだろうが、引っかかるのは場所が武蔵村山市だという点である。

 同市は都心からおよそ30キロ離れており、島嶼部を除き、東京都で唯一、鉄道の駅がない街だ。世界の中心にあるような大学を、わざわざここに持ってこようと考えたのはどうしてか。

 都庁の政策企画局計画調整部に聞いてみる。

「ご存じのように、武蔵村山市では、多摩都市モノレールの延伸計画が2030年代半ばの開業に向けて進んでおり、完成すれば“駅なし市”の状態が解消されます。一方で、駅を利用してもらうには、人が集まる施設が必要になる。そこで、開通の目玉として、NY大学を誘致することになったのです。また、東京都が海外大学と提携するのはこれが初めてではなく、米コロンビア大学、米ミネルバ大学などと提携関係にあります」

 先の石渡氏によると、

「小池さんは、若者が来てくれることを期待して、国際色をアピールするつもりでNY大学を誘致したのでしょうが、実は地域振興のための大学誘致は結構な割合で失敗しているのです。最近も佐賀県武雄市が13億円の補助金をつぎ込んで武雄アジア大学というのを開学しましたが、募集に対して充足率は3割にも満たない状態。NY大学は名門なのでそこまでひどくはないでしょうが、加えて海外大学卒というキャリアが就職面でさほどアピール力を持たない現実も知っておくべきでしょう」

 東京都なのだから、駅前に施設を誘致するなら都立大学のどこかの学部を移転させる方がよかったのではないか、と石渡氏は言うのである。

週刊新潮 2026年7月30日・8月6日号掲載

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