早大の演劇部エースと、バブル崩壊で仕事ゼロに…「堺雅人」と「阿部寛」、全く違う道を歩んだ「VIVANT」の名優

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全く違う堺と阿部

 TBS「日曜劇場 VIVANT シーズン2」(日曜午後9時)の主人公は、堺雅人(52)が演じる自衛隊別班の乃木憂助だ。阿部寛(62)が扮する警視庁公安部の野崎守も物語の軸になる。2人はともに日本を代表する名優だが、タイプもこれまでの歩みも全く異なる。【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】

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 連ドラの続編にはさまざまなパターンがある。脚本と演出を兼ねる福澤克雄氏(62)は、前作から時間を切らずに物語をつないだ。シーズン1は全10回だったが、シーズン2の初回は実質的に第11回。海外の配信ドラマでは珍しくない構成であり、前作で釘付けにした視聴者を、そのまま乃木たちの物語へ引き戻した。

 堺の連続ドラマ出演はシーズン1(2023年夏ドラマ)以来、3年ぶりとなる。阿部の連ドラは「日曜劇場 キャスター」(2025年春ドラマ)から1年3か月ぶりだ。2人とも作品を選んでいるからだが、ギャラの問題も見逃せない。

 俳優のギャラにはさまざまな報道があるが、複数の芸能事務所幹部の証言は一致している。連続ドラマのギャラのトップランクは1回あたり250万円から300万円。このランクに属するのが堺、阿部、さらにシーズン2の初回の回想シーンに登場したノゴーン・ベキこと乃木卓役の役所広司(70)らだ。

 どのドラマ制作者も堺、阿部、役所に出てほしいだろうが、連ドラの平均的な制作費は1回当たり3000万円なので難しい。最近では2000万円台でつくるドラマも珍しくない。

 一方、「日曜劇場」は高視聴率を維持し、日本生命など大手スポンサー4社がガッチリとサポートしているから、制作費は平均4000万円。さらに「VIVANT シーズン2」は1億円を軽く超えていると見て間違いない。

 だから、堺、阿部を一度に出せる。今回は石油・天然ガス資源で知られるアゼルバイジャンでの大規模ロケを行ったから、円安によって余計に制作費がかかったはずだ。

 堺と阿部はともに名優だが、タイプも歩みも対照的だ。堺は演技の幅が途方もなく広い。フジテレビのコメディ「リーガル・ハイ」(2012年)で奇っ怪な弁護士の古美門を演じたかと思ったら、NHK大河ドラマ「真田丸」(2016年)で思慮深い名将・真田信繁(幸村)に扮した。

 演技の幅が広いから、「日曜劇場 半沢直樹」(2013年、20年)での半沢直樹役もハマった。半沢は誠実でやさしい男だが、悪党や卑劣漢にはとことん厳しい。二面性があった。

 乃木は温厚で誠実であるものの、Fという別人格を抱えている。Fは冷徹かつ合理的。乃木も幅の広い演技が求められる役柄だ。堺を見ていて思い出すのはやはり早大中退の大俳優・森繁久彌である。森繁さんもコメディで笑わせ、シリアスで泣かせた。不得手な役柄がなかった。

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