「中車クンは“古典の学び”が…」 人間国宝「片岡仁左衛門」が「市川中車」の芝居にチクリ “怪優”を恐縮しきりにさせた爆笑会見の一部始終
「立川で私のファンを増やしたい」
東京・立川市を“世界に誇る芸術都市にする”ことを目指して2023年にスタートした「立川立飛歌舞伎特別公演」が、今年も11月に開催される。その製作発表が7月27日に行われ、初出演となる片岡仁左衛門(82)・孝太郎(58)親子のほか、市川中車(60)・團子(22)親子、中村壱太郎(かずたろう・35)ら出演者が出席した。この華やかな場は、人間国宝の仁左衛門の独壇場となった。
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開口一番の挨拶から笑いを誘った。
「これまでの3年を見ても、私なんかが出る幕はないと思っていた。まさか声を掛けていただけるとは。大変嬉しく思います。今回の演目が古典なのはありがたいと思う。普段とは違う場所で違うお客様の前でやるのだから、私のファンを増やしたいと思います」
團子へのエール
仁左衛門が演じるのは日本三大仇討ちの一つを題材にした「寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)」の主役・工藤左衛門祐経(すけつね)。敵役の曽我十郎祐成(すけなり)と五郎時宗をそれぞれ壱太郎と團子が演じる。片岡親子と初共演する團子はその喜びをこう語る。
「お二人とガッツリ共演するのは初めてです。しかも歌舞伎の様式美の極みである荒事。これを学べるのは貴重な体験です。ありがたく思い、しっかり勉強したいです」
これを聞いてにっこり笑った仁左衛門は、かつて明治座に出演予定だった市川猿之助が事件で緊急降板した際に、急遽代役を務めた團子へこんなエールを送る。
「役者には何度かチャンスがある。それを生かせるのは役者の技量。團子クンはその巡ってきた急な代役をきっちりこなし、与えられた役を立派にやり遂げた。今回の共演をとても楽しみにしています」
古典の学びが足りない中車をチクリ
一方、4年連続の出演となる中車は近松門左衛門の時代物「平家女護島 俊寛」で、平家に謀反を企てた罪で絶海の孤島に送られる俊寛僧都(そうず)に初挑戦する。これまでにこの役を何度も演じている仁左衛門からはこんな“アドバイス”が。
「同じ役でも歌舞伎ではその家ごとの型がある。澤瀉屋には澤瀉屋の型がね。だから、私から中車クンにアドバイスをすることはあるかもしれないが、澤瀉屋の芸を受け継いでほしい。中車クンのお父さんの猿翁さんはしっかり古典を学んだうえで新作に挑んでいた。その点が中車クンの場合は心配だな。ぜひ、歌舞伎の匂いのするお芝居をしてください」
テレビや映画では“怪優・香川照之”として名をはせた中車も、歌舞伎界の大先輩から指摘されて、恐縮しまくり。
「その意味では僕にはいつまでも到達できない歌舞伎味だとわかっています。その中で、僕なりに今できることをやります。一人島に残されてしまう俊寛の思いを皮膚の下に持って臨む、それしかできません。どうか……どうか」
最後は消え入りそうな声で頭を下げるしかなくなってしまった。
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