「巨人・阪神」セ初の同率首位ターン…後半戦の“一騎打ち”を確信した3連戦 1球の怖さが出た第1戦で「山田久志」の悲劇を思い出した【柴田勲のコラム】
ダルベックはしっかりとした仕事人
石塚はバックスイングを大きく取って余裕を持って構えた方がいい。
巨人はここにきて笹原操希、石塚、小濱ら若手がいい働きをしている。浦田俊輔の活躍が若手たちの刺激になっているのかもしれない。いまや1番に定着しつつある。
巨人は本塁打で得点するケースが多かったが、浦田が出塁すると盗塁や好走塁でチャンスを築き、ヒット1本で得点できるようにもなった。
ダルベックが4番としてドンと座っているのがいい。阪神の森下翔太や佐藤のように見た目の迫力はないものの、しっかりとした仕事人といった感じだ。あれだけの体だ。当たれば左中間、中堅へ飛ぶ。パワーがある証拠だ。
トレイ・キャベッジは相変わらずストライクを見逃してボール球を振っている。ベルト周辺に目付けをすることだ。まあ、それでも前半戦を終えて好材料を挙げることができるようになった。
巨人の原動力は投手陣
大勢の離脱で7、8回を田中瑛斗中心にやり繰りしている。時にエッと思う時があるが大勢はいずれ戻ってくるだろう。
なんやかんや言っても巨人の原動力は投手陣だ。チーム防御率は2.90でリーグトップ、2位の阪神は2.91だ。如実に表している。
巨人にとってはチャンスだ。球宴でいまの勢いがさえぎられるのはもったいないけど、後半戦スタートの10試合が大事になってくる。
前半戦を明るく締めることができた。8月を負け越したチームが脱落する。まずは後半戦最初のカードであるDeNA3連戦(東京ドーム)を不安なしで楽しみに迎えたい。
(記録などは27日現在)
※「山田久志が王さんに喫したサヨナラ3ラン」とは:
1971年の巨人対阪急(現オリックス)の日本シリーズ、両者1勝1敗で迎えた第3戦は10月15日に後楽園球場で行われた。阪急の先発、23歳の山田久志は絶好調だった。1点をリードして9回裏を迎えた。1死まで被安打2、しかも無四球だった。
巨人はその1死から柴田勲が粘って四球で出塁した。山田にとって初の四球だ。柳田俊郎(真宏)が右飛に倒れたが次打者・長嶋茂雄が4番・王貞治につなぐ安打を中前に放って2死一、三塁となった。
王は山田の1-1からの真っすぐを捉えた。打球は右翼席中段へのサヨナラ3ランとなった。109球目だった。山田はマウンドにうずくまり立ち上がれなかった。西本幸雄監督、長池徳二、福本豊に抱えられてベンチに戻った。
これでシリーズの流れは巨人に大きく傾いた。シリーズ史上、いまだに語り継がれるサヨナラ本塁打となった。振り返れば柴田の四球がきっかけだった。柴田は王に「なんとしてでも出塁してくれ」と言われた。走者が出れば変則モーションの山田もセットポジションになりタイミングが取りやすい。
巨人は4勝1敗でV7を達成した。山田は王の一打を糧に「史上最高のサブマリン」と称される投手に昇り詰めた。
(敬称略)
[2/2ページ]



