市場規模2300億円に迫る「コワーキングスペース」での迷惑行為…「香水」の匂い以上にキツかった“音の正体”は? 「さすがに“家でやってくれ”と思いました」

  • ブックマーク

「せめてトイレでやってくれ」

 コワーキングには、実に「多様な常識」が大集合する。勝手な想像だが、組織に属さない自由業が多く集まる場所ゆえに、個性が強く、「常識の範囲」も広くなるのだと思う。

 あるコワーキングを利用していた際、朝早くにスーツケースを転がした女性が座った。大きな鏡と一緒に取り出したのが、髪の毛を巻く「コテ」だった。コワーキングの机には、電源がある。そこにコードを差し込むと、慣れた手つきで長い髪の毛をくるくると巻き始めた。

 飲食が自由なのもコワーキングの特徴だ。そのため、朝はサンドイッチなどを片手に仕事をする人も少なくない。長い髪の毛を机でいじることも気になったが、何よりも驚愕したのは、その後だった。

 彼女はスーツケースから大きなスプレーを取り出し、髪全体に吹きかけたのだ。筆者が言う言葉じゃないのだろうが、それこそ「家でやれ」だ。

 こうした人たちにとっては、コワーキングは「ネットカフェ」に近いのかもしれないが、仕切りもないオープンスペースでそれができる人たちと筆者との「常識の広さ」は、明らかに違うと感じた。

週1回聞こえてくる「パチン」音

 しかし、この「家でやれ」案件には、さらに上がいる。

 それが「爪切り」だ。

 週1ペースで聞こえてくるその音を、「伸びるの早くねえか」と冷静に観察しつつ、毎度全身の鳥肌が止まらない。他人の爪切りに不快感を抱くのは「音がうるさい」からではない。切った爪の行方が追えないことにある。

 繰り返しになるが、コワーキングは一般的にどこも飲食が可能だ。

 体からの老廃物を切り離す作業を、多くの人がいる空間でできる常識も世の中にはあるのかと、ただただ驚かされるのだが、調べてみるとこの「オフィスでの爪切り」、ホワイトカラーの一部ではかなり昔から議論があるようだ。

 筆者は普段、日ごろから体の管理が必要なブルーカラーを取材しているが、彼らの現場ですら、人の前で平気で爪を切る人を見たことがない。

 まだコワーキングなら、席の移動や利用を止めるなどの対策は取れるが、会社のオフィスで爪を切っている上司を持つ全国の社員たちはさぞストレスを溜めているだろうと、深く同情するのだ。

香水ソムリエを目指す女性

 コワーキング界隈でもう一つ議論になるのが「臭い」だ。

 公共の場の臭い問題というと、「新幹線の肉まん問題」が思い起こされるのだが、このコワーキングにも臭いでクレームが出ることがあるようだ。そのため、狭い空間のコワーキングでは、「お食事は臭いの配慮をお願いします」とするところも少なくない。

 そんななか、強烈なインパクトがあったのが、「香水ソムリエの勉強をする女性」だった。

「勉強」というコワーキングの使用用途は間違っていない。その人自身も熱心に数時間もの間机で色んなフレグランスを吹きかけ、匂っては、何かメモを取っていた。が、同じ空間で数時間の間、強い香水の匂いを嗅ぎ続けるのはかなりの苦行だ。音なら耳栓で何とかなるが、鼻に栓をするわけにはいかない。

 働き方や業種が多様化していく昨今、共有スペースにおける許容範囲も、自分自身の許容範囲も広げていかないといけないのかもしれない。

次ページ:コワーキングのメリット

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。