「あなたにはお酒を止めてくれる人がいるじゃない」 元天才子役「中村メイコさん」をハッとさせた親友「昭和歌謡界の女王」の切ない言葉
「止めてくれる家族」
〈エネルギー源はお酒ですね。昔はブランデーが多かったけど、今はちょっとキツイので、スカッチにしています。それが私にとってはガソリンのようなものね(笑)。オンザロックにちょっとお水を入れ、毎日7、8杯は飲みます〉(「生きるクスリ」から)
「スカッチ」という言葉の響きが心地よかった。しかも、亡くなるおよそ半年前で8杯! 並みの女傑ではない。
では、ひばりと飲んだ時のエピソードは……。
〈ひばりさんとは一緒にいろんなところに飲みに行きました。ひばりさんは強盗に入るんじゃないかというくらい大きなマスクにサングラスをして出かけるんです。「そんなんで楽しい?」って聞いたこともありました〉
また、前出の松野のインタビューで、ひばりが病で亡くなるちょっと前の、こんなやりとりがある(亡くなったのは89年)。
〈私は「お酒だけがあなたの体に災いしたわけではないけれど、ふたり同じくらい飲んだのに、あなたの方にお酒が悪くいっちゃって、イヤだね」って泣きそうになりながら言ったの。そしたら、「そんなことないわよ。メイコは私の半分くらいしか飲んでいない」って言うんですよ。
「嘘よ。同じくらい飲んだじゃない」
「違うの。メイコには止めてくれる人がいたの。あなたは飲みすぎると(夫の)神津さんが不機嫌になったり、子供たちが『ママ、そんなに飲んじゃダメ』って言うでしょ? 私はママが死んでからは私が一番偉いの。飲みたい時はみんなお酒を持ってきてくれる。だから倍飲んだの。メイコが元気でいられるのは、止めてくれる人がいるからだと思って感謝しなさいよ」
こたえましたね。ひばりさんにそう言われ、「止めてくれる家族はありがたいんだ」と思うようになりました〉
このエピソードは『大切なこと~』の中でも、同じように語っている。メイコさんにとっては女王との大切な会話だったのだ。
家では黙っている?
そんな家族が母親をどう見ていたのかがわかるエピソードもある。「生きるクスリ」から。
神津はよく「賑やかな奥さんがそばにいてうるさくないですか」と言われることがあったそうだ。そんな時は「あの人は仕事じゃないとあまりしゃべりません」と応えていた。メイコさんいわく「私はうちにいるとほとんど黙っています。時々に犬や猫に話しかけるくらいで」。
こんな風にも語った。
〈(私が)スイスのキレイな景色を眺めながら1週間くらいいたいと言ったとするでしょ。そうすると神津さんも娘たちも「お母さんは絶対にノイローゼになるから静かなところはダメ」って反対されます(笑)。やっぱりゴチャゴチャした街中が好き…田舎のキレイな空気とか青空とか疲れちゃうんですよ〉
2歳8カ月で芸能界デビューし、ひばりを筆頭に昭和、平成の名だたる有名人を知り尽くした中村メイコさんは芸能人としても、家庭人としてもとびっきりユニークな人だった。
[2/2ページ]



