「あなたにはお酒を止めてくれる人がいるじゃない」 元天才子役「中村メイコさん」をハッとさせた親友「昭和歌謡界の女王」の切ない言葉
夕刊紙・日刊ゲンダイで数多くのインタビュー記事を執筆・担当し、現在も同紙で記事を手がけているコラムニストの峯田淳さんが第一線で活躍する有名人たちの“心の支え”になっている言葉、運命を変えた人との出会いを振り返る「人生を変えた『あの人』のひと言」。第77回は俳優・歌手の中村メイコさん。作曲家の神津善行氏を夫に持ち、長く芸能界で活躍したメイコさん。今回は彼女の「酒」にまつわる秘話です。
家族想い
芸能界の生き字引のような存在だった中村メイコさんが、89歳で亡くなったのは、2023年の大晦日。訃報が届いたのは、松の内が開ける年明け1月7日だった。公表が遅れたのは本人はもとより、新年を祝う世間に水を差さないという、関係者の配慮があってのことだと思う。
2011年に作家の松野大介が、「私の酒人生」というテーマでメイコさんにインタビューしている。松野は彼女の酒話の秀逸さとともに他人への気遣いに感銘し、こう語っている。
「今までインタビューした芸能人で誰が一番かと聞かれると、いつもメイコさんと答えています」
どこまでも気配りの人だった。それは人知れず、自身の家族にも向けられた。
個人的な話になるが、いつも思い出すエピソードがある。メイコさんには子供が3人いる。末っ子で長男の神津善之介は、スペイン在住の画家。筆者の連れ合いも画家をやっていて、同業者として個展などを通して交流があった。以前、善之介氏が帰国して都内のデパートで個展をやっていた時のこと。メイコさんが会場に来て、来場者への挨拶など、かいがいしく動き回っていたという。しかも、足元を見ればピンヒールの踵の高い靴。母親をやりながら名優然とした佇まい……。
それを見た連れ合いは、何もしてくれなかった自分の母親を思い、「善之助さんが羨ましかった」と語ったことがある。
メイコさんは本などで家族の話をいろいろ書いているが、根っからの家族想いだったということだろう。
そんなメイコさんの「秀逸な酒話」が、今回のメインテーマだ。
亡くなる5カ月ほど前、「生きるクスリ」というテーマでインタビューさせていただいた。一番の酒の友は女王・美空ひばり。著書『大切なこと、ちょっと言わせてね』(大和書房)では、ひばりと自身を重ね合わせた、こんな一文がある。
〈このような人生を歩んだのは、私が知っている限りでは、たぶん、私・中村メイコと、あの美空ひばりの二人だけだと思います〉
とにかくメイコさん、お酒やアルコールとの付き合い方が実にカッコいいのだ。
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