「わかりにくすぎるルール裁定」めぐり選手が舌戦、怒りのクラブ投げは2件…荒れた「ゴルフ全英OP」で心に「?」が残る理由

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なぜフリードロップなのか

 おそらくロストボール扱いだろうと想像されていた中で、ルール委員はシェフラーに無罰救済を告げ、シェフラーは指定された区域でフリードロップ後、そこから3打目を打ち、ピン3メートルに付けてバーディーを獲った。

 その場に居合わせた米テレビのラウンドレポーターでさえ、「何がどうなったのか、私も100%確かではないですが……」と前置きしながら状況を伝えていたほどで、このルールの解釈と裁定は周囲にわかりにくかった。

 結論としては、大会などで臨時に設置される人工物で、なおかつ動かせない障害物として介在する場合は、無罰で救済されるというローカルルール(F-23)が適用されたとのこと。

 シェフラーのボールは、ギャラリースタンドという“臨時に設置された人工の動かせない障害物”の中に明らかに入ったとみなされたため、ボールが見つかったか否かにかかわらず、フリードロップが認められた。

そもそもゴルフは自己申告のゲーム

 デシャンボーに2罰打が科されたことも、シェフラーに無罰救済が認められたことも、どちらもルールに基づいて下された裁定だったが、心のどこかに「?」が残る。

 ゴルフルールは明文化されているものの、それを適用し、裁定を下すのはルール委員である。そこには主観や先入観が入りがちであり、またそう見られがちでもある。

 裁定は本当にフェアだったのか、それともアンフェアだったのかという議論は、おそらく今後も続くのではないだろうか。

 しかし、そもそもゴルフは自己申告のゲームだ。本来はルール委員がいなくても、ゴルファー自身の真摯な姿勢と正義によって成立するはずのスポーツである。

 ルールのみならず、エチケットやマナーを重んじることもゴルファーに求められる最低限のたしなみのはずだ。だが、昨今はマナー違反が多々見られ、今年からメジャー大会ではマナー違反に2罰打や失格処分を科すという新ルールが採用されている。

 6月の全米オープンでは、ホアキン・ニーマンがクラブを投げて2罰打を科された。今回の全英オープンでは、ジョン・ラームとロバート・マッキンタイアの2名が、どちらもクラブを投げて警告処分になった。

 しかし、マッキンタイアいわく、「カッとなって行動に移すのは、僕のDNAだ。これからもやると思う。それで2ペナを食らったら、それは僕の自己責任だ」と開き直った。

 今後、マッキンタイアがクラブを投げた場合は、フェアかアンフェアかの議論は無用ということ。彼が次にクラブを投げたら、ルール委員は容赦なく、問答無用で彼に2ペナを科していただきたい。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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