マンションの「宅配ボックス」に巨額のカネが…警視庁特捜課が暴いたトクリュウの新手口「空ロック」とは? “国家公務員宿舎”の宅配ボックスが悪用されたケースも

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宅配が事件の舞台装置に

 捜査関係者によると、集合住宅に設置されている宅配ボックスが特殊詐欺グループに悪用される事件が相次いでいる背景には、周囲に防犯カメラのないボックスが警察の想定以上に多い点にある。

 目立つ事例としては、築年数が古いマンションで後から宅配ボックスを設置した際、既存のカメラの撮影範囲(画角)から外れている場合や、コスト削減のためカメラの設置台数を絞り、エントランスの出入り口などに限定して死角が生まれる、などがある。前出の警察関係者は「昨今の傾向として、プライバシーへの配慮で、あえてカメラの向きをずらしている例もあります」と指摘する。

「インターネット社会になり、ネットを通じて商品やサービスを売買するeコマースの市場が急拡大したことで、宅配は最重要インフラとなっています。未明に起きた事件や孤独死に気が付くのは、一昔前なら新聞配達員でしたが、いまは宅配員。その宅配業が、犯罪の“舞台装置”となっているわけで、時代を感じます」(同警察関係者)

 令和5年7月6日、当時の露木康浩・警察庁長官が定例記者会見で言及したのが「トクリュウ」の名が、公式の場で用いられた初めての機会だった。トクリュウによる犯罪は勢いを増す一方であることから、警察庁は同6年4月、特殊詐欺とITを悪用した闇バイトやSNS型詐欺を集中的に取り締まるため、全国各地の警察本部にタッグを組ませた特殊詐欺連合捜査班を編成。TAIT(特殊詐欺・IT犯罪総合対策チーム)と名付けた。

 チームではトクリュウの壊滅に向け、組織的にアプローチするため、情報を一元化。オトリ捜査をさらに一歩前進させた仮装身分捜査も昨年1月に導入し、1年間で13件を実施して、強盗や特殊詐欺の実行犯5人の逮捕に漕ぎ着けている。

 同年10月1日にはトクリュウ取り締まりの司令塔である警察庁と、実働部隊の筆頭に位置する警視庁で同時に組織改編を断行。警察庁はトクリュウ対策専門の情報分析室を発足させた。刑事局に38人体制で置かれた情報分析室は刑事部門のみならず、生活安全部門、さらには都道府県警といった組織間の壁を越えて情報を集約。人工知能(AI)によって分析を加えて取り締まりのターゲットを選定するのが特徴だ。

 一方で警視庁は、特殊詐欺対策本部を匿名・流動型犯罪グループ対策本部に改組。140人体制で適用法令検討などの戦略を立案するとともに、全国の警察本部から人員を集め、T3(匿流ターゲット取り締まりチーム)と名付けた専従捜査班を設置している。

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